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水面
ぴぃんと、甲高い音が響いた。
それは、水が一滴、落ちた音のようでもあり、高い鈴の音のようでもあった。
何かが、波紋を広げている。
静かに、それでいて、強く、深く。
そして、高く。
ゆきのかは、その波紋を感じていた。
水面より、来る
深き深き地の底に、人の触れざる水がある。
水は澄み、底深くまで見える。
地の底であるにも関わらず、そこは仄明かりが浮かぶ。
蛍日に映し出された水面はいくつもいくつも光を映し、湛え、輝く。
地の底に宇宙を映すその淵に、御魂のひとつ、住まうという。