家族愛をコンビニ経営で確かめる3
「いざ! 説明会に出陣!」
「おお!」
安倍家の晋男、晋一、晋二、利子は、名前が面白いというだけで、大手3社ではなく、デイリーザキヤマのコンビニのオーナー説明会に参加することにした。
「いらっしゃい、私が社長のザキヤマです。くる~!」
デイリーザキヤマの社長、ザキヤマがくだらない芸人のギャグでお出迎え。
「よろしくお願いします。」
「なんか、うさんくさくない?」
「詐欺じゃない? 詐欺?」
「怪しいね。」
安倍家は疑いの眼差しで説明会が開始された。
「デイリーザキヤマの特徴は、店内でパンと惣菜を調理するキッチンを持っているということです。店内で作った焼き立てパンや出来立ての惣菜を出すことができます。お客様にはとても好評です。」
「いいわね。これならコンビニとパン屋さんと両方を経験できるってことね。」
「はい、その通り。オーナーのほとんどが、自分でパンを作ってみたいという所からのスタートです。逆に言ったら、パンを作りたくなかったら、大手のコンビニのオーナーになった方が儲かりますよ。ということです。」
「おお、納得のいく説明だわ。」
「もしかしたら、いいかも。」
「悪いのは名前だけかも?」
「ザキヤマはダメだね。ハッハハハ。」
安倍家は、ザキヤマの説明会に洗脳されていった。
「そして、我がデイリーザキヤマの1番のポイントが、24時間営業にこだわっていないところです。」
「おお!? コンビニなのに24時間営業をしなくていいんですか!?」
「いいんです。24時間営業なんてしないで下さい。24時間営業なんかしたら、大切な家族が過労死で死んじゃいますよ。24時間営業で死ぬまで働いて家族愛を確かめるなんて、やめて下さい。もし疑うなら大手のコンビニの説明会に参加してください。「儲かるから24時間働いて、死ね。」って言われますからね。ワッハッハー!」
あっさりコンビニ本部の本音を言ってのけるザキヤマ社長。
「そこの安倍さん。」
「はい。」
「家族でコンビニ経営をするのであれば、経営するのは1店舗だけでいいですよね?」
「はい。そのつもりです。」
「ですが、ドミナント戦略って聞いたことがありますか?」
「ピザ屋です。」
「違います。あなたのコンビニが儲かっていたなら、近所にもう1店舗出店する方式です。当然、あなたの店の売り上げは半減しますよ。」
「なんですと!? それが大手コンビニのやり方か!? 卑怯者!」
「なんて恐ろしいんだ!? コンビニの世界!?」
しかも世の中に放送されない事実として、ほとんどのコンビニが赤字で借金だらけである、らしい。
「それでは、ここにハンコをどうぞ。」
「ポンっと。あ、押しちゃった。まあ、いいか。他に道がないしね。」
安倍家とデイリーザキヤマの契約が成立した。
つづく。




