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終わる世界の物語(仮)  作者: いおす
6/22

日常 からの

作者も調理師免許持ってるです(もう意味ないけど

 私立城愛(じょうあい)高校高等学校。

 そこが勇達の通う高校である。

 県道近くの小高い場所にあり、生徒数は男女合わせて850人程で6割は女子。

 男子はごく普通の学ランだが、女子はブレザーで夏・冬・合服の他にスカートの柄やブラウスの色を選ぶことが出来る。

 部活動は盛んでスポーツ特待生制があり、特待生は授業料が大幅に減免される。

 大会毎に何かしら全国に行く部が有るため、応援の為の横断幕が常に掲げられている。

 私立高校では珍しく普通科の他に、商業科・看護科・調理科があり、女性が多い高校である。

 設立者がカトリック系であった事から、授業に聖書の時間があり毎朝礼拝が礼拝堂で行われている。

 校舎全体はグラウンドの西に流れる大きな川と東にある城跡地の樹林園の麓に位置し、市内鉄道の簡易駅舎まで歩いて15分ほどで通学にはさほど不便がない。

 偏差値はスポーツに力を入れている為かあまり高くはないが、校長室前にずらりと並べられた優勝旗やトロフィーがそれらをあまり意味のないものとさせる。

 反面として一般学力さえあれば入学できるとあって、他校の俗に言う【ガラの悪い入学者】も多少在学している。


 勇は調理科、咲と美里亜は看護科に所属している。

 姉の立花はバレーボールのスポーツ特待生として入学しており、商業科になる。


「じゃぁ、ゆーちゃ……真行寺センパイまたねー」

「あいよー」

「ポケットから手を出してね…先輩」


 美里亜に指摘され「へいへい」と軽く返事を返ながら校門へ入り、お互いに片手を上げて別れる。

 咲と美里亜は看護棟へ、勇は調理科が含まれる一般棟へと移動する。



 真行寺姉弟が私立で、更に同じ高校を選んだ理由は卒業後の就職率が100%という点にあった。

 姉・立花はスポーツ万能で特待生入学だった為に入学・学費は0に近く、教材や制服等のみで済んだ。

 勇と美里亜の偏差値は公立でも十分通用するものだったが、家庭内環境を憂いて進学を選ばなかった。


 その理由として勇の通う高校はスポーツ以外でも高校側で用意された学業奨学金制度があり、一般生徒でも推薦入学や成績優秀な生徒はかなりの免除が有る。

 それら免除を加味した場合、その他雑費を踏まえて3年間を比較すると公立よりも安くなるのである。


 勇は3年間で習業後に調理師免許を検定後に、美里亜は同校の専攻科へと自動的に移動になり計5年習業過程を終え国家試験後に合格すれば晴れて看護師資格取得後に卒業となる。


(3人もいるとお金かかるだろうしなぁ…)


 姉の立花は大学もスポーツ特待生で行く事になるだろうが、それでも現高校以上に家計へ負担が掛かるだろう。

 美里亜は専攻期間や国家試験で別の意味で大変になる。

 このご時世、余程の稼ぎでもない限り共働き家庭の家計は火の車だ。

 まして片親ともなれば親のへの負担は、育児も含めれば殺人的とも言えた。

 親戚や親しい隣人の助けがあったとしても、それは相当なものである。

 勇達3姉弟はそれでも十分な愛情を母から感じており、慕っていた。



 余談でこの進路選択に勇の母・真奈美と一悶着があったが、3姉弟の連携プレゼンの前に結果的に母親が折れた形に落ち着く。

 更に余談でその夜はアルコールでへべれけになった母を深夜のキッチンで発見し、3姉弟でえんやこらと寝室へ運ぶ羽目になった。


(お酒は飲みすぎないでほしいなぁ)


 勇は遠い目しながら向かうべき教室の有る校舎へと向かう。


(ん?)


 ふと何かを感じて勇は一般棟と隣接している礼拝堂を見上げる。


(屋根……の上に誰かいる……?)


 2階建ての礼拝堂の鐘楼の上にかろうじて人影と思えるものを見つける。

 逆光ではないが青空に溶けるような蜃気楼の存在のように見え、勇の眼にははっきりと映らない。


「え……あれ?」


 もっとよく見ようと眼をすぼめた途端、人影ゆっくり背景の空へと消えた。


(見間違い……かなぁ?)


 目をこすって再度確認するも、既に人影らしきものはは見えない。

 鳥か何かと見間違えたんだろうか、と勇は思うことにしその場を後にした。

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