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水道の抜け穴 2


「なあ、おい。 本当にこっちであっているのかい? 私の記憶だがね、こっちは住宅街のはずだよ。 ははぁん、さては君、道を間違えただろう?」


数十分後、私はそう言わざるを得ない場所に来ていた。 辺りは見渡す限りの住宅街、それも世間的に見れば高級であると一目でわかるようなマンションがずらりと並ぶ通りである。 そう思わない方が可笑しいだろう(もっとも、この時点で数時間をこの男に付き合わされている鬱憤があったのも事実ではあるが)


「ああ、すまない。 だが憶測で物事を語るのは頂けないよ、君。 安心したまえ、決して間違っちゃいない、美味しい料理というのはね、適度な運動があってこそ魅力的だとは思わないかね」 彼はしれっと言い切る。


「待ちたまえよ、君。 ああ、それにしても名前を知らないのは不便極まりないね。 いい加減、名乗ろうじゃないか。 私はユウスケ。 勇気の勇に、介護の介でユウスケだ、さぁ君の番だ。 名前を教えてくれないか」


「ふむ。 ユウスケくんか、いい名前だ。 親御さんに感謝するべきだね。 うん、いいとも。 これから友になるかもしれない相手だもの、名乗らせてもらうよ。 しかしね、その前に軽率な憶測で物事を語る君に少しだけ授業をしてあげよう。 うん、君はいくら金銭に余裕があるからといって奉公をおそろかにするのは頂けないね」


この時、私は思わず「あっ!」 と、すっとんきょうな声をあげてしまった。 名乗りこそしたが、定職に就いていないこと。 貯蓄が有ることなどは言っていなかった


「ははぁ。 それと、紅茶が好物だと踏んだがどうだ?」


「た、確かにその通りだけど、どうしてわかったんだ?」 私は不気味な感覚に襲われつつも、それを上回る好奇心を抑えきれずに尋ねた


すると、彼は何でもないことかのように答える


「うん、単に消去法さ。 まず、こんな昼間にいくら恩師からの頼みでも見ず知らずの私にこんなに付き合うのはよほど暇な人間だろう? それと、君の見た目さ。 上等な革靴、それにコートの紳士ときたもんだ。 裕福な家か仕事に付いているんだと誰にでも創造がつく」

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