37.資料を元に
こんな山積みになるほどの紙の量だったんだな。
「……読めた」
尋常じゃないスピードで持ってきた資料を読み進めていたアリファはその手を止めた。
「早いな」
「……」
そもそも何故俺らは喋ることが苦手なアリファに喋ることを強制させるようなそれを託したんだ……。
「……」
沈黙という謎の威圧感。
アリファは手を動かしていることから恐らくメールで伝えようとしているんだろう。
「送った……」
おぉ、どれどれ?って恐ろしいほど長いんだが。
……読み終えた。
「つまり、救う方法は少なからずあるということだな?」
アリファはこくりと頷く。
救う方法。資料中に記されていたことが本当ならばその魂さえも飲み込む勢いで抗えば……というものだったのだがそれだけでは情報として不十分だ。しかもサイヴは肉片残らず消滅させることを目的としている為、かなり厳しいと言うのが現状だ。
その他にも魂が持つ未練を晴らすことも消滅から耐えうる力になるという。
「……えへへ」
そして全く関係は無いがメイリがメイデの束縛魔法にかかったまま檻の中に入っている。
「そろそろ、出して、欲しいな……」
変わらず掠れた恐ろしい声だ。
「じゃあその肉体から離れろ」
「えぇ〜……」
そこそこ腐敗しているその身体に乗り移ったままずっと居たのか。
「お前が自分の肉体を探していたってのは随分と前からボスから聞かされてたがそんな状態の身体でも嬉しいのか?つーかまだ命令を受けてんのか。なら尚更出せないな」
そうだ。元々メイリが滅龍族に加入している理由は肉体を探す為であって……待てよ?どうしてサイヴが肉体を所持していたんだ?
「メイリのことについての情報は何かあったのか?」
アリファはゆっくりと首を横に振る。
「そうか」
「でも良かったの!!ずっと探していたんだもんね?」
「うん。嬉しい……けど、それ以上に、憎い。サイヴが、憎い」
確か戦闘時もそんなことを言っていたな。この操られている状態でも意識はしっかりとある訳だ。
「とりあえず回復魔法が使えるやつ……メイデ、腐敗は治せるのか?」
「難しいかも……」
確かアリファも回復魔法的なものは出来たはず。だがしていないという事は不可能だと。
ストーリーロードのアルメリならどうだ?
「主……私がアイツのこと嫌いなの知っているでしょ?」
そういえばそうだった。っていうかまた読み取りやがった。
「あ、すまん。もう呼んでる」
嫌いっていう情報だけでその言葉が指している人物が分かるのか。
「用事が終わったら来るってよ。悪ぃな聖龍」
「うがああああ!!」
飛びかかろうとするメイデをリベアが両脇を腕で固定し抑える。
「落ち着けメイデ、僕もアイツのことは苦手だ。とりあえずこの場から離れよう」
「うぎぎぎぎ……」
……可愛そうだ。主にアルメリが。




