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36.魂を受け継ぐ者の末路

「私達……どうなっちゃうの……?」


「その答えは簡単だ」


ウロボロスがそう言う。


「そこに記されているよう、やがて形残らず消える、云わば完全な死だろう。少しばかり思い出してしまったのでな」


「魂を引き継いでいないはずだ。なら……大丈夫だと思われるが」


やはり何処かあやふやではある。が、ウロボロスが言うようにはそれは誠のようだ。


「奴は龍を実験材料にするとともにこの世界も制圧したかったんだろうな。そういえば時を戻したとかなんとか、つまりそういう事だ。記憶は引き継がれその巻き戻した間の記憶は夢のような不確かなものとして記憶に刻まれていた。おそらくやつも巻き戻す前の記憶を多少なりとも持っている」


即ち放置していたところでイフ、レイル、タニア、シルフィはいつか死ぬ、そしてそうなる元凶となったサイヴに4人の能力が引き継がれる……。


「なんとかできないのか?」


「……恐らく……今は分からないが無いだろう」


この場にいる全員が凍りつくかのように停止したかのようだ。


いち早くその停止状態から回復したのはイフだった。


「考えていたって仕方が無いよ!!それよりも今はここにある資料を全員で転送できるようにしよう!!」


「あぁ、そうだな。だが恐らくこの空間は外部からの魔法を遮断するものとなっているだろう。そうでなければ既にサイヴは捕獲されているはずだ。とりあえず目に入った資料全てを運び出そうか」


アヴェルの指揮で一先ず俺らはこの資料を無事アリファの元へ転送させる事が出来た。


「どうする?あの穴の先に何があるか調べる?」


タニアがそう言う。


「確かにまだ間に合うかもしれないな」


「それはダメ。あの先は罠になっているはずなの。サイヴならしかねない」


随分とよく知っているようだ。やはり一時期を共にしているだけはあると。


「アァ、ソウダナ、奴ハ心理ヲ逆手ニ取ル考エヲスルヤツダ」


「確かに僕もあの先は行くものじゃないと思う。とするとサイヴ達には僕達と同じように転送魔法が使える者が居るって考えても良さそうだね」


面倒だな。ならば今は一度滅龍族の本部へ帰還するべきという事か。


「まぁ、大体わかった。じゃあ……帰るか」


死人は出なかったものの……得られたものは確かに大きかった。イフ、レイル、タニア、シルフィの死が必ずどこかで起きてしまうことが。その他にも後に送った資料の中から様々な情報を得ることになるだろう。

それに……サイヴからも聞き出さなければいけないことが多々あるはずだ。


俺は空間を裂き、その先へ進む。そうして皆、同じように空間内へ戻るとそこから更に滅龍族の本部がある場所に繋がる空間を裂く。


こうして俺達は一度、アリファ、メテウス、メイリが待つそこに集まった。

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