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34.コンビネーション

何をして来るか分からないからまずどちらかが様子を見ないといけないんだけど……よし、此処は私が!!


「じゃあ後方支援よろしくね!!」


「任せて」


鋼人って言ったらこの身体全体に鎧がまとわりついているこの感じが好きだなぁ、それに結構軽いし物凄く硬いし。って今は関係ないか。

よし、リーチなら私の方が上!!


「……!?」


嘘……短剣で受けきれちゃうの……?なんだかショックなんだけど。


「よし!!」


左腕破壊!!これで、その剣は使えない!!

……何……?この殺気……死体がこんな殺気を出せるものなの?


「ダメだ!!コイツは自分に制限を設けることでそれに値する力を得る巨悪の断龍ギリアム!!」


なら今が死体だから心臓の動きを制限していても何らおかしく無いよね……だとするとあの私の攻撃を受けきれたのも納得が行く。

……来る!!右ストレートから左、さらに蹴りまで!?


「うが!!」


嘘……ただの打撃のはず。それがこんなにも強く……。

心臓の動きと失った右腕の動きを制限してそれに値する力を得ていると言うなら納得出来る。

きっとその他にも呼吸器官、消化気管、五感なんかも制限しているはず。死体には不必要だから……。

流石にこれは痛すぎる。鎧貫通に特価したランスでさえ貫けなかったこの皮膚の内側にここまで強い振動を与えれるその火力を並の人間が受けたらまず死ぬなぁ。ただ分かったことはこの調子なら何発でも受けきれる!!


「大丈夫か!?」


「う、うん。まぁ……それよりもアイツは馬鹿みたいに早いから気をつけて」


魔力……?魔法弾が来る!!それも無数に!!


「五発以上は抑えきれないって……いったた」


そうだ、レイルの能力は魔力の塊自体を吸い取ることが出来きて、蓄えた分を一気に放出することも出来る。でも吸収できる上限は五発まで。だから五発は受けきれたとしてその後の何発かは被弾したって感じか。それでもこの反応を見るにそこまで大したダメージは入っていなさそう?

アイツが動き出した。さっきよりも速い!!

ただ恐る心配が無いのは私の能力に相手の注意を引く効果があること。つまりレイルが狙われることは無く、魔法が来る時に限って前に出て吸収していく、みたいな戦法が安定する。

ただ、私は物理防御が高いだけで魔法防御を見てしまえば普通の一般人と比べてみても私が劣る。これはレイルだって同じ。魔法防御が高く、物理防御が著しく低い。


「次は左!!」


結局何処を破壊しようがアイツに関して言ってしまえばそれはどうでもいいことで、何処かの部位を損傷することは逆にその方が制限をかける場所が増え、火力の増強にも繋がるため早めに四肢を切断しておかないとこちらが辛くなる一方。

よし……って両利き!?聞いてないよ!?


「うあぁ!?」


あ……変な声を出しちゃった……ん?アイツの左腕が飛んでいる?

あぁ、タニアがやってくれたんだ!!でも随分とギリギリを狙ってきたね。はっきり言ってとても危なかったよ。

よし、私はよろめいているこの瞬間に両足いただこうかな!!


「よし……身動きが取れない状態になったね」


この場合の身動きが取れないって言うのは歩いたりは出来ないってだけだけど、まぁなんだか身体をバタバタと動かせるにはできるんだ。


「誰かが来る!!」


そう聞こえた途端、私の耳には音一つも聴き取れなくなり、視界は暗転する。時間の流れも呼吸をしている感覚も自分がどこに居るのかさえわからない感覚に陥った。

そこに確かにレイルはいるはず。レイルの言っていた誰かもそこに居るはず。

怖い、ただただ怖い。そんな感じだった。


目が覚めると目の前にはまず滅龍賊のリーダーであるリメルの姿がそこにはあった。


「特に何かされているという訳では無さそうだけどアヴェルとスケイルを襲ったその五感を奪うことの出来るそいつがまだ転送されていないってことでいいんだな?もしかするとタニアらが戦ったであろう者も」


「うん、そうっぽいですの。ミーラが見つけて運んできてくれなかったら少し危うかったですの」


運ばれてきた……?身体に傷を負っているわけでも無いみたいだし……一体何が……。

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