31.骸骨と刀マニア
なんだよ、突撃してみたは良いが何も居ねぇじゃねぇか。あの分かれ道で一旦止まっておくべきだったな。それにしても暇だ。
「……居ねぇな」
「居ネェナ」
「引き返すか?」
「流石ニソウハイカナイダロウ」
だろうな。まぁ今頃アイツらも何処かの分かれ道に這行っていることだろうし。
……相当進んだ気がするんだが。ん?壁でここが行き止まりだと。それと水属性の制御装置か?きっとそんなところだろうな。
「お前水属性魔法使えたっけ?」
「イヤ。使エルノハ固有無属性魔法グライダ」
そういえばそうだったな。俺ら龍は本当に使える属性魔法が極端に少ない。いくつもの属性に依存する魔法を使える奴なんてそうそういない。
……そういえばうちのリーダーは全属性扱えたな。そんならやっぱり俺が運ぶべきだったってなるのか。
「しゃあない。この先行き止まりだしやっぱ引き返すか。なんもねぇし」
「ソウダナ」
リーダーを連れてきてもっかい来るとするか。それまで今はとりあえずお預けだ。
そうして何も無い道をただ引き返す。
「……戦闘態勢をとれ」
「アァ、分カッテイル」
微かに気配がする。生き物ではない、この場合じゃサイヴが操る死体と言ったところだろう、だとしたらだ、引き返すまで誰一人とも会わなかったはずだが……もしかすると入口から入ってきたのか?はぁ……結局戦えって訳か。巨悪の断龍ギリアムだろうが卑導の惑龍アルグスだろうがそいつら二体同時だろうがかかってこい!!肉片の一片も残さず刀の錆にしてやるか。
「なぁ?あいつはギリアムなのかアルグスなのかどっちなんだ?」
「サァナ。ダガマァ俺ガスルコトトイエバ目ノ前ニ居ル敵ヲ倒スダケダロウ?」
それもそうか。一々気にして居られねぇな。
「それじゃあさっさと切り刻まないとな」
スケイルは骨による形状変化でケンタウロスのような姿になり、目の前の死体めがけて突進を噛ます。
そして宙に待ったところを俺が真っ二つに叩き斬る。
だが俺の腕にはその感覚は無く、ただ一面に暗い闇が広がっているだけだった。
……思い出した。こいつは卑導の惑龍アルグス、五感を奪う能力者、となると俺は視力を奪われたのか。これじゃあやりずらいな。




