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27.束縛魔法

すぐにまた俺ら目掛けて物凄いスピードで殴り掛かる。そして俺らはなんとかその猛攻を避ける。

だがその次に構えていた攻撃は避けきれず。咄嗟に両腕で防ぐ。そして両腕はウロボロスと共に吹き飛ぶ。

その途端言葉に出来ないほどの鈍痛が響き渡る。

まだ再生液は健在だったため両腕は再生したのだがウロボロスは勢いよく吹き飛んだ腕と壁に挟まれたのか、畝りながらもがき苦しんでいる。


そして次の攻撃。また次の攻撃と受けていく。余所見をしている場合では無い上に酷い鈍痛といつ再生の効果が切れるのかという恐怖、息することもままならないこの空間に今、俺は立たされている。


「ウロボロス!!今、回復を……!!」


「問題ない……痛みと傷は癒えた。それよりも主の元へ投げ飛ばしてくれないか……」


「わ、わかった!!」


メイデが投げたウロボロスが俺の首元を噛む。それを機に一度後退する。

やはり同じように次の攻撃が飛んでくるが次は避ける。そうすると腕がまたはまったようだ。


……メイリの腕が壁から抜けない?そうか。勢いが良すぎたお陰で隙が出来た!!ならばメイデに後方支援を頼みたいんだがこれも頼み事と見なされ制限されるよな……。


「後方支援ですね!!了解です!!」


「おい……本格的にお前が怖くなってきた」


なんで一言も話していないのに分かるんだよ。超能力者かなにかか?て、そんなことを言ってしまえば竜人になれる俺や龍になれるメイデらはどうなるんだって話だが。


「えっへん。これが私と主を繋ぐ赤い糸って奴ですよ!!一言も交わさずに理解出来きちゃうんですね!!因みに超能力者でも無いですよ。でも次からは頭を撫でてね?」


今さらっとさっき心の中で思ってたことを読み取ったな。

それよりもだ。目の前の敵、メイリをどうにかしなければならない訳だ。ミイラの子がやっていたように何かに包んだりして機能停止にさせた後はアリファに任せるのが一番無難のようだがそれをする為の行程が難しい。


「今のうちに俺がメイリを取り押さえる!!」


一直線に腕が中々抜けないメイリへ走り出し、もう片方の腕を後ろに回し胴体を地面に押し付ける。


「……嬉しい。君に、触れて、とても、幸せ」


「とりあえず今は何かしらで拘束しておかないと危ないだろ……じゃあ動けなくさせてもらうからな」


どうしてこうも嬉しいと言うのに暴れているのか……まぁ命令に関してはどうしようも無いわけだな。


「束縛魔法発動!!」


メイリの這いつくばう床に灰色の鎖を催した魔法陣が現れる。

俺はこれを一度見たことがある。あの時、ギルドを作りに行った際に絡んできた男共に対してメイデが使用したあの魔法。あの時のメイデは非常に怖かったな……。

っと俺は脳内で過去を振り返りながらメイデの方を見る。


「主が最初に抱きつくのは私のはず……」


抱きつく!?この絵面が!?押さえているようにしか見えないだろ。


「とても、強い、魔力……憎悪が、感じられる」


「まぁそうだな。今は憎悪の化身のような感じだし。じゃあ後はアリファに任せるか。ここで戦線離脱だな」


結局なにかしたか?と言われれば何もしてないに等しいがメイリにとっては重要な出来事の筈だ。それだけでも価値はある。


「うん……ありがとう。きっと、リーダーが、私の、身体を、肉体のある、物に、必ず変えるって、約束してくれたのは、きっと、この事じゃ無いのかな、って、思っている。何は、ともあれ、ありがとう。あと、ごめん。つい興奮しちゃって出られなくなっちゃって。結局、何も、出来てない……」


直にメイリの身体は光の粒子に包まれ、転送される。流石アリファ。仕事が早い。


「これで二人っきりだね、主!!」


ん?アリファからメールか?いつの間にこんなものを。メイデも気付いたみたいだな。えっと、4つの道の先には各属性の魔力を当てると起動する仕掛けがある。一番左は火、左の2番目は水、右の2番目は風、一番右は土。一旦落ち着いたら中央に集まって。との事だった。と言うことは今現在この分け方じゃ何処の仕掛けも起動出来ない訳だ。一旦奥まで進んでどのような物なのか見てから中央に行くとしよう。


「とりあえず進んでみてから引き返そうか」


「はい!!」

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