25.衝突はなんとしても
「全くいないな。それならそれで良いんだがさ」
全く気配という気配が無い。もしかしたらマジで何も無いのか?
「もしかしてもうあれで殲滅しちゃったとか!!」
メイデがそう茶化すように言う。だが一切そんなことは無く、俺達の前に蠢く死体の群れが現れる。
「こりゃあ捌くには時間がかかるな。一度試してみるか……」
アヴェルがそう言いながら刀を引き抜く。
「ん?効かないな?」
「あのゾンビ、達の、時間でも、止めようと、したんだ」
そういえばそう言った能力があったな。元の戦闘力に加えてこんなチート染みた能力だ。やはり強い。
「あぁ、そうだが……」
「死体、なんだから、効かないのは、当たり前、でしょ」
死体だと効かないのか。なるほど。まぁこんなこと知ったってどうともならないだろうけど。
「こりゃあだるいな。もう一度だ、行くぞ!!」
「オウ。頑張レ」
「だからテメェも来るんだよ!!」
「ウワァ!?」
アヴェルは二本の刀を持ち、突撃しながら蠢く死体を切り刻む。少し遅れ、スケイルも骨による変形により、牛の胴体、首にあたる場所は人間の上半身の骨で作られたケンタウロスの様な姿で突撃する。
みるみるうちに道は開けて行く。だが取りこぼしは多少あるようだった。これに関しては俺らで駆除しろという解釈で間違いはないだろう。
腕に絡みついたウロボロスを宝竜剣へと変え、向かってくるそれの頭を突き刺す。ただ、相当雑に駆除をしているのか取りこぼしが多い。まぁそれも含めて駆除だ。
「って言うか結構奥まで進むね?」
「そうだな。迷ったりは……流石にしないか」
マップはあるし心配は要らないか。
襲ってくる死体を協力し合いながら駆除し、奥へと進んでいく。そこで見たものは4つの分かれ道だった。
「アヴェルらが居ないことからどちらかに入ったと思われるがどうする?」
「うーん。2と2と3って感じかな?此処の道からは彼らの声が聞こえるし此処は選択肢外として」
タニアがそう言う。ならば残りの3つの道を別れて行くと言う感じか。確かに悪くない。
「じゃあ……いっせーのでで指差した場所を行く場所にしようか。被ったらじゃんけん。どうだ?」
結果的には一番左側で俺、メイデ、メイリ。右から2番目でレイル、タニア。一番右でイフとシルフィ。こういう分け方になった。因みにもう先に行ってしまっているが、左から2番目はアヴェル、スケイルだ。
「私は、君と、一緒に、なれて……嬉しい」
なんでこんな分け方を選んでしまったんだ……。
「ごほん」
メイデがわざとらしい咳を一つ。
「私も居る!!それに私の主にベタベタ触ろうとしないで!!あ、でも触れないんだっけ?幽霊だから」
「……ちょっと、今のは、ムカって、来た」
なんで喧嘩が始まってしまうんだよ!?本当に扱いがめんどくさい!!
「喧嘩は辞めよう。な?」
「主が言うなら……」
「君が、言うなら……」
一時的に収まりはしたがまた何処かで衝突するだろうな。この二人は。はぁ……頼むからリベアのようなまともな奴がよかった。今後一切こいつらが衝突しないように俺が気を配らないとな。




