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22.死龍再臨

飛び立ってからかなり時間が経った頃合だった。


「おい、なんか見えねぇか?」


白い羽毛に包まれた龍に乗るアヴェルが前方を指し、大きな声で言う。

すかさず俺は竜人の目に変化させる。するとその先には大きな鎌、黒く穴だらけのマント。初めて見るという物じゃない。それどころか戦ったことのあり、更には俺が殺した相手。死龍のデット。俺が殺したはずのそいつが迷いもなく、そして一直線にこちらへと物凄いスピードで迫ってくる。


「クソ!!デットも蘇ってやがったのか!!」


あと数メートル。


既に射程圏内。


気づいた時にはアヴェルは宙に舞い、1本の刀の上に乗ると1本を片手に。そして残りの10本を背後に忍ばせデットに襲いかかる。

瞬きも許されないその刹那の一瞬に龍化したデットの身体は刻まれ、本体であるデットが出てくる。

そのデットは血の気があるとは思えない相貌で真っ黒な鎌を握りしめ、アヴェルに襲い掛かる。


「コイツにはなんの利用価値もねぇよな!?」


「無いはず!!ただ、もし誰かがサイヴの能力を継承した時にはその死体に利用価値は生まれるからなるべく傷を付けず、保護してください!!」


「あいよ!!」


アヴェルとデットは宙に舞うように互いの武器を鍔競り合う。

若干アヴェルの方が有利と見えるが意外とそうでもなく、あちらは一度死んでいる身であり、スタミナという概念が無いだけあってペースが乱れない。


「ミイラ!!準備は出来たか!?」


「うん。マスターは私とアヴェルに、デット対して傷を付けずに保護することを命じた。そうですよね?でしたら私はデットを保護することに専念します」


ミイラの身体から何本もの包帯が飛び出す。その包帯の数々はデットに向かい、デットを無数の包帯が絡めとると、まるで繭のように丸まった。

そしてアヴェルは再び龍化したリメルに乗ると、12本の刀全てを鞘に納めて、言う。


「ようし。そんじゃあ転送してもらうか」


そう言った瞬間、デットが入った繭のようなものは消える。


「あちらのことはあちらに任せておこう。その為にメテウスがいるのだから」


タニアがそう言う。手は握り拳になっている。

……まぁタニアはタニアで奴に恨みがあるからな。


「そうだな」


俺もデットは苦手な分類に入るし、自分が殺した奴が蘇ってリベンジしに来るって言うのも味わったことも無いことでなんかこう変な物があるな。


「もうすぐだ。着くぞ」


なんとなく目標地点は分かった。あの見るからに古い神殿だな。

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