12.第一世界の主
「主よ。ダンジョンについては知っているのか?」
ウロボロスが何かを思い出したようにそう言ってくる。
「ダンジョンって言ったらあれだろ?最深部に宝があるとかいう迷宮の……」
「半分当たりだ。レイルの言っていた第一世界、第二世界のダンジョンを何というかは知っているか?」
「……さぁ?」
「ロストダンジョン、失われた迷宮だ。何処の領地にも属さない場所に点在するダンジョンだ。そしてそのダンジョン内にいる魔物は全てその世界で生きていた魔物で、更に謎の結界のせいで魔物に攻撃するにはその世界にあった武器、魔法でしか倒せない為ほぼ研究もされていない。攻略不能、難攻不落のダンジョンという訳だが、奴ら、古今夢走のメンバー達は最低でも一度クリアしている」
確かにそのはずだ。宝竜剣ウロボロスの入手。その為にはその世界にあった武器か魔法が必要な訳だ。
「主は覚えているか?あの姉妹を」
「姉妹……?古今夢走のあのルメラとアメラ?」
「あぁ、彼女らだ。彼女らは第一世界からこの第三世界に迷い込んでしまった、すなわちタイムスリップをしてしまった者達なのだろう。そして古今夢走のメンバー全員が彼女らを男だと思っていたのを覚えているな?」
確かそんなことがあったな。
「あれは第一世界に存在した性別変換魔法だ。っと言ってもそんなに大したものでも無い。なっている時間分だけ常に魔力を消費しているわけだからいつかは解ける。それが丁度そのタイミングだったというところだろうな、そりゃあ男が多い場所で少女が二人というのは行為に走っていてもおかしくはないからな」
まぁそうだろうな、でもタイムスリップとかタイムマシーンがあるわけでも無いだろうしどうやって……?
「タイムスリップなんてありえないと思っているだろう?」
「そりゃあまぁな。だってありえないだろ……そんなこと」
「ありえていたんだ」
「……ありえていた?」
「そう、ありえていた。あの姉妹、思い出してみれば第一世界の主に付き添っていたんだ。と言っても共に過ごした年月はほんの少しのものだったのだがな」
どうして急に此処まで思い出せるようになったんだ?
「突如彼女らは行方不明となり、それっきりだ。その後第一世界の主は六属珠護龍を念入りに練った作戦で残機を残さず殺した」
「質問良いか?」
「ん?あぁ、いくらでもしてくれ」
「どうして此処まで思い出せるように?」
「さぁな?話している内にポンッと出てきたんだが」
ポンッ……とか。なんか適当すぎるような。まぁ良いかな?
第一世界の主は六属珠護龍を残機を残らないように殺した訳で、その付き添いとしていたその姉妹もそれ相当の力を持っていたわけなのか。そういうことなら詳しいことは姉妹に聞くのが早そうだ。
「なんだかよくわかんねぇけどつまりはその姉妹を訪ねろということなんだろう?」
「流石。わらわも気になって仕方が無いのでな」




