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9.第一世界からの武器

メイデ達は各々部屋に戻って行った。

ここに居るのはウロボロスと俺だけ。まぁいつもの空間ってことだ。


「主には言っても良さそうだな」


「何がだ?」


「色々……だ」


ウロボロスは声のトーンを変え、真剣に話しかけてくる。秘密……か、特に考えたことは無かったけど第一世界からずっと生きているんだっけ。


「拒否権はない。ちゃんと頭の片隅に置くことを推奨するからな」


「え、えっと、わかった」


俺は少し怯えながらも聞くことにした。拒否権はないらしいし。


ウロボロスはその瞳を閉じ、再び開ける。


「レイルに関してだが、いつ暴走するかわからない状況になっている」


俺の腕からテーブルへと飛び移ったウロボロスは、そう言った。


「彼女は危ない。そういえばまだ主には魔人化したレイルの姿は見ていなかったな、というよりレイルが自ずと見せないようにしているのだろう」


どうしてレイルが?


「魔人は非常に強い魔力を秘めており、12時間もあれば魔力が爆発するほど貯まるという。そのため定期的に魔力を外に逃がさなければ異常状態になり、魔力を全て吐き出すまで暴走を始める。とりあえずレイルは今も慣れない魔人と向き合っている。暴走しても広く接してあげるのが良いだろう。ということともうひとつある」


広く接する……か。レイルもレイルで頑張っているんだな。それに比べて俺ときたらなんもしちゃいないよなぁ。それともう一つ?


「その武器はとてつもなく危険なものとなっているのだ」


「え?どういうことなんだ?」


錆び付いたその剣を今一度見る。


「出来るならあまり触れることはオススメ出来ない」


俺は一旦それをテーブルに置いた。


「この武器はわらわと同じ第一世界から残っているものなんだ」


「……ということは」


「まぁわらわもこやつとは何度か会っている」


第一世界から生きている武器……このウロボロスのような……そういう系統の。


「今は錆び付いてどうも完全体とは言えないのだが、それ故に気をつけなければ呑まれる。今も息を潜めて待っている……と伝えてくれとそこ武器が」


「お前が知ってたんじゃないのかよ!?」


「わらわも少しだけ知っているだけだからな。まぁ要するに主を不安にさせろってことだな」


「なんか納得いかんな……まぁ大体わかった。気を引き締めろってことだな」


「そういうことだな」


そういうことなんだな。わかったようでわかっていないようなこのもどかしさはなんなんだ……。

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