6.激流の宝珠
「大型龍だからスピードは出ないけど行くよ!!」
空に飛び立つ、一見自然が増えたように思われるが再構築までには時間がかかりそうだ。
「龍の状態だと本当に怖くないんだな」
「そりゃあね、なんでだろ?」
自分でもわからないのか、まぁ別に奥深く追求しようとは思ってないが。
今何かが横切ったような......?
「お!!やっぱりメイデとリベアとイフ!!それと知らない人~!!」
「知り合いか?」
「暴風の宝珠を護る疾龍シルフィだよ、賊に追っかけられてたんじゃなかったの?」
確かそのおかげで簡単に宝珠を取り返せたんだよな。
「え?そうだったの!?怖い怖い」
自分が速すぎて気づいていなかったのか、恐ろしい、大型龍とは違い結構小さいほうなのかな?
「皆は何処に向かってるの?」
「み、水の国です!!」
「わぁ!!暇だからついて行こー!!良いよね良いよね!!」
暇だからって......凄いな、賊に見つかってもすぐに振り切れる速さを持っているんだし、よっぽどのものだ。
「主は良いよね?」
「うん、いいよ」
「主?えぇぇぇ!!メイデ!!この人の奴隷になっちゃったの!?」
なに勘違いしてるんだ......名前を思い出せないからとりあえずそう呼んで貰ってるだけだ。
「こ、この人はそんな人じゃ無いですよ!!とってもお優しい人です!!」
「なぁんだ、優しい人か~」
それだけで納得しちゃうんだな、なんかもっと色々言ってくると思ったが。
「ごめんね!!早とちりしちゃう系なんだぁリベアが一緒にいるぐらいなんだから本当に良い人なんだね!!」
「まぁ確かにこの人は信頼できるな、何故だろう?火炎の宝珠を取り返すとき一緒に同行させず安全な場所に移動するよう指示を出してくれたからかな?」
居場所を探すのに手間取ったな、あの時、でも居なくって本当に良かったな、あのよくわからない強い人が人質、いや龍質をとったりしたらどうしようかと思ったからな。
「結果的にはシルフィが賊を引き付けていてくれてたんだけどね」
「やっぱりシルフィは凄い?凄いんだよね!!知らず知らずのうちに手助けをしているなんてさっすが!!」
「シルフィさん凄いです!!」
「えっへへへ~やっぱり?」
人の状態になるシルフィ、薄い緑色の長い髪にすこし幼さを感じる風格の人がふわっと浮きそのままリベアに俺達と同じように乗る。
「さぁさぁ出発~!!あ、ねぇねぇ!!シルフィの話聞いて!!」
「お、おう......?」
「うん!!どうしたの?」
「シルフィなら水の国にある邪魔な雷とか全て避けていけるよ!!」
雷よりも速いって相当やばくないか?
「それとね、激流の宝珠の在処も知ってるよ!!」
「ふぁ!?」
「それは本当なのか!?シルフィ!!」
「うん!!案内しよっか?」
まさかシルフィが知っているとはな、思わぬ収穫って言うのだろうか?
「色々空のお散歩をしていた時、激流の宝珠を奪っていった賊達が見えたんだ!!そしてバレないように追いかけていたら収納庫みたいなところについたんだ!!でもその時は力も戻ってなくってそのまま他の宝珠を護る龍に会ったら伝えて手伝って貰おうかなって!!それで場所は......確か土の国の麓だった気がする!!多分土の国の中で一番大きな山!!」
「あぁ、イラルド山だな結構有名な山だ」
「どうしてそんな有名な場所に?」
よくわからない連中らのことだ、なんかあってもおかしくは無いのだろうけど。
「そ、そういえば此処って土の国でしたよね?」
「あ、そうだね!!」
そうなのか?ってさっきからチラついていたあの雲を突き抜けてもなお頂上が見えないようなクソでっかいあの山がそのイラルド山っていう山か。
「じゃあ水の国のより先にイラルド山に出発だね!!」
リベアがその山に目掛け加速する。
「確か、えぇっとうぅっんっと、西の方の麓にあった気がする」
リベアが下の方まで降り、西の方へ進む、そこには確かに一つの頑丈そうな建物があった、火炎の宝珠が保管されてあった建物と同じような感じの、そして前より警備は硬い、保管しておいた火炎の宝珠が取られたことを知っているのだろう。
ん?誰か立っているぞ?
「あれは大地の宝珠を護る岩龍のタニア!!一人で乗り込むだなんて自分の国を滅ぼすような......速く行かなくちゃ手遅れになる!!」
「僕だってわかってるよ!!とりあえず君は昨日みたいに飛び降りて!!僕達はとりあえず後から向かうから!!」
「お、おう!!」
俺は昨日の手順でリベアから飛び降りた、っていうか今回は普高度が高いからな、足首をくじきましたみたいな事にならないよう気をつけないとな。
俺はすぐさま翼を出し怪我を防ぎそのまま落ちる。
「タニアさんだっけ?激流の宝珠を取り戻してあげたいんですよね?」
「え!?あ、うん!!」
「そういうことならさっさとこいつらを蹴散らしましょうか......!!」
俺は両腕を竜人の物に変え構える。
「え、あ、誰かは知らないけど......頑張りましょう!!」