7.何かと取引
「サイヴの情報、提供してあげようか?」
床で寝転がる俺に聞き覚えのある声が横から聞こえる。
リビュド。怪仏の怪龍……今それが俺の思考を読み、いつの間にか現れる。
龍というよりは神の部類に入るコイツに常識は通用しない。
「商売はどうしたんだ」
「うん、売れたよ?」
「あぁ、そうか。で、サイヴの情報ってのはなんなんだ?それとも何かと取引か?」
願いを叶える。その代わり、コイツが商売として引き取ったことは出来なくなる。例えば願いを叶える代わりに怒りを引き取る。これに同意し願いを叶えてもらえた者は怒ることができなくなる。まぁ物以外の商売も行う商人だ。
「うん、これでも商人だからね。で、サイヴの情報いるかい?」
「いいや。いらねぇ……つかメイリにバレたらどうする気なんだ」
「もう、バレてる。覚悟して」
メイリが壁から現れる。まぁ部屋的には隣だし盗み聞きしてたのだろうか?
どっちにしろリビュドからすればどうでもいいことなんだろうけどな。
「そうだ。折角だし君の願い叶えてあげよっか?」
リビュドは標的を俺からメイリに変える。
俺じゃ商売にならないと感ずいたのだろう。やはり賢い。
「……!!」
「じゃあそうだな。君の願いって言ったらあれだろう?あの竜人とデート、あわよくば結婚。それか……」
最後にニヤッと不気味に笑う。そしてメイデから殺意が湧いて出ているのがひしひしと伝わってくる。
「要らない」
「あら、そう?今なら満足感で取引しようかと思ったんだけど」
「要らない。帰って」
「あ、竜人君からだ」
リビュドはあの竜人のことを一言だけ漏らす。
「へぇ、金剛龍の魔臓器かぁ。城でも買う気なのかな?」
よりにもよってアイツ、龍の部位で一番高値の、それも金剛龍の魔臓器を渡したなんてな。
「ふむふむ。他の属性のブレスレットと交換か。まぁ全然構わないし寧ろラッキーかな」
コイツはよく独り言を漏らす。たまに重要そうなことを言ってたりするが今回は俺らには関係は無さそうだ。
「それじゃあ帰るよ。まぁ、取引しに来たりするかもだけど」
「二度と来るな!!」
リビュドはいつも通り爽やかに笑い消える。メイデは苛立ちながらも自分の部屋へと戻っていった。
リビュドが言ったあの、それか……の次が気になる。何故あんなにもその先を言わせたくないのか。ま、俺の知ったこっちゃないけど。
俺は再び床に寝転がった。
サイヴの情報か。特に今は必要は無いしどうでもいいっちゃどうでもいいんだが、わざわざ来るってことは何かあるんだろうな。




