6.対金剛龍戦
「ど、何処のダンジョンに行きましょう?」
「これはわらわからの提案だが、わらわが眠っていたダンジョンが良いのではないだろうか。出現する敵は全て龍系で固定されているから良いと思うのだが」
龍系固定のダンジョンか……とりあえず今はそこが良さそうだな。
「俺はそこで良いけど」
「うん、そこが良い!!パパッと沢山倒して私達の分も主に買わせよう!!」
まぁなんか不本意すぎるが皆が賛成しているわけだしそこに行くことになった。
ウロボロスが元いたダンジョンっていうとレクト達が攻略したダンジョンってことになるのか。
「ダンジョン名は龍幻の迷宮と言うのだが……その前に大丈夫なのか?」
リベアが白目を剥いて失神していた。
高所恐怖症だから仕方がないのかもしれないけど今回は長く持ったほうか。
「わ、わかりません……」
「実はわらわも場所は覚えていないのだ。古今夢走の連中なら知っているかもしれないが」
聞いてみるか。そうするしかないよな。
ん……?奥から何か突っ込んでくる?イフは気づいてない?
「何か来ている!!」
何かの正体は金色に輝く大きい龍だった。
その龍はイフ目掛けて突進してきた。
「きゃあ!!」
その龍は方向を変えるともう一度イフへと突っ込んでくる。
バランスを崩したイフはすぐに体制を立て直すと、次は避けた。
「リベア……は気絶してるしって起きた」
リベアはすぅっと起き上がるとその龍を見つめる。
「アイツは金剛龍だな。滅多にお目にかかれない龍だ。素材は全てが高く、だがそれ故に討伐した者も見たものも少ない。噂だけならトップクラスの実力を持つ龍だ……うぶ……吐きそう」
「お、落ち着け。そうだ。龍化しよう龍化さえすれば大丈夫なんだろう?」
「そうだな……そうしよ……うあああ!?」
リベアは足元を崩し真っ逆さまに落ちていった。
「危ない危ない……」
ギリギリ龍化したリベアはイフの隣を飛ぶ。
「金剛龍は縄張りを死守する習性がある。それに龍の中でも疾龍に続く素早さを持つ。そして一度縄張りに踏み入れたものは殺すまで逃そうとしない」
メイデがイフから飛び降り、かなり下の方で龍化して戻ってくる。
「つまり全力で倒せばいいって訳なんでしょ?」
次にシルフィとレイルが飛び降り、龍化する。
「金剛龍には悪いが逃がす間も無く倒させてもらうぞ」
「リンチっぽいけど相手が仕掛けた勝負だもんね!!シルフィ負けないよ〜」
「私、岩龍になると重くなっちゃうから……まぁ君が私を守ってね?私も戦うけど」
タニアは重量があるから飛べないのか。タニアはストレージからランスを取り出す。装備は着用しないのか?
俺は気にせず全身を竜人化し、金剛龍を睨む。
素材さえ手に入れば借金返済、ちょっと贅沢しても許される。勝たねば。
「そんじゃあ……名無しのギルド総員!!掛かれ!!」
俺とタニアはそれぞれ龍化したメイデ達を足場にし、金剛龍に近づく。
跳ぶ、また跳ぶ。
かなり強化された足で軽々と跳び、撤退する意志が見られないその金剛龍目掛けて着地する。
ウロボロスを宝竜剣化させ、俺はその丈夫そうな鱗目掛け一突きする。サクッと割れた鱗の先の肉に宝竜剣が貫通し、暴れ出す。
俺はバランスを取れなくなり、一度引き抜き、近くにいた龍化したレイルに着地する。
「どうだ?」
レイルは様子を伺ってきた。
「いいや、あれじゃあいつか逃げられるだろうな……」
「うおりゃあああ!!」
タニアがいきなり走って暴れている金剛龍へとランスを突き立て、更に全身を鋼人化し、落ちるように攻撃する。
そのランスは金剛龍の背中へ、俺が穴を開けた部分へと突き刺さる。
耳が痛くなるほどの咆哮を上げる金剛龍に容赦なくメイデの突進、リベアのブレス攻撃が炸裂する。その後、イフが龍化を解き、猫人化状態で鱗を破る。おそらくステータスは攻撃力が化け物級になってるのだろう。
次にシルフィが、メイデとリベアとイフの攻撃で鱗が破れた肉の見える箇所に向かい、突進をする。その突進の速さで肉は引きちぎれ貫通する。
最後にレイルの特大サイズの魔法攻撃で金剛龍は光となって消えた。
初の野生龍討伐。それも皆と共に。
俺は嬉しい気持ちの反面、改めて仲間であるメイデ達が恐ろしく感じた。
ストレージを見るとそこには金剛龍の鱗14枚、金剛龍の心臓、金剛龍の魔増器があった。
真っ逆さまに落ちるイフをシルフィが急いでキャッチすると上に戻ってきた。
「よし。とりあえず借金返済はできる。みんなありがとう」




