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21.異変を残して

「イフさんの魔法陣のある部分には、猫人の魂を宿されているようですね……言うところの竜人化の複雑なところかな?イフさんの場合は猫人化かな?でも今、魔法陣が展開されている左側の頭のみ適応されているって感じだけど。でも、いつの間にか全身が猫人化できるようになるし、いつかは自分でコントロールできるようになると思うけど」


地面に書いた人の形をしたものに猫耳を生やす。

でもそれは左側のみ。


「マスターさん……少し落ち着いてきました」


「そっか」


完全に猫耳だ……猫耳が生えてる……。


「ふにゃぁっ!?」


暖かいな……人のような耳は無くなってるし怖すぎる。

全体を見てみるが、異変はどうやら左側の頭のみに現れているようだ。それにどうして猫人になったんだろうか……。


「あ、あまり触らないで下さいぃ」


俺はすぐに手を離す。

半人半猫……か。半龍半猫?まぁどっちでもいいけど、タニアとレイルにもあるんだよなこういうのが。


「これは……」


尻尾?猫の尻尾だ。


「にゃふ!?」


「あ、ごめん」


遂、引っ張ってしまったが普通に鬱陶しくないか?常に尻尾がくねくねしてたら。俺は尻尾出すかどうかは制御できるから良いけど。勝手に出ている感じだもんなぁ……。


「不思議なのはこの技術を持つ人が居るってこと。それと竜人に関わりがある人で……」


なんかぶつぶつ言い出したなぁ……。

それにしても仲間が勝手に改造されてしまってるわけだし黙っていられる訳ないし。


「あ、あれ?猫耳が」


いつの間にか消えていた?いつから?これ本当に自分で操作できないのか。不便だな。


「まぁ、とりあえず一件落着……ってわけっすよね?」


「まぁそうかな?」


「じゃあ俺達古今夢走はこれにて撤収するが、くれぐれも気をつけてくれよ?」


レクト達はそのまま龍化?オーバードラゴニックシステム状態というべきなのか?その状態のラーデンに乗り、去っていった。最初っからそれ使っていれば早く此処に来れたんだろうに。まぁ俺達は宝珠をメイデ達に渡さなければペナルティも解除されないし、此処じゃあの空間に戻れないからとりあえず乗らないといけないわけだけど。


「なんか色々あって吾輩は困惑しっぱなしなわけだけなんだが……」


「す、すごい時間苦しい思いしたよね。で、でも時間は戻ってるし。本当は時間は巻き戻ったわけで……うぅんわかんなくなってきた」


「いや……本当にごめん」


俺はもう一度頭を下げた。メイデ達にも額が擦れるほど謝らなければな。


「うぅん。今こうして君が自殺してなかったことになっているのが何より嬉しいし、君もあの後、色々頑張ったみたいだから、私は嬉しいよ?」


本当にいい人達だな……古今夢走の人らも、みんなも。


「じゃあ宝珠を返さなければいけないからな」


レイルが龍化しだす。


「吾輩に乗ってくれ。3人とも疲れているだろう?吾輩は大丈夫だ」


俺達はレイルに乗り、ゆっくりと浮上すると、本当にゆっくりだがこの領地から離れて行った。


領地から出て、別の登録済みの領地まで行き、あの空間に戻る。


「おかえり!!主!!」


「急に時間がぐるぐる〜って戻って此処に居たんだからシルフィ達ビックリしてたんだよ?リベアはまだ起きてないけど……」


俺の部屋で待ち構えていたようだった。


「本当にごめん!!色々迷惑かけた!!」


俺はメイデとシルフィ、寝ているリベアに向かって頭を下げた。っというより土下座だな。


「主!?」


「頭を上げて?」


かなりメイデとシルフィは、俺のことを心配しているようだ。


俺はそのまま頭を上げると、床に座った。ソファはリベアが使っているからな。


「宝珠取り返してきたよ!!」


タニアが宝珠をメイデとシルフィに渡す。

これで今あるペナルティが全て解放された。


「あれ?イフ?その可愛い猫耳……コスプレ?」


「ま、また生えてきましたか……」


「可愛い!!」


あれ?今度は両耳ある?いつの間にか全身が猫人化できるようになるっていうあれか。徐々に猫人に近づいていっているんだな。


「ひゃぁ!!さ、触らないで下さいぃ」


「この尻尾可愛い!!これなら良い?良い!?良いよね?」


メイデとシルフィがかなり興奮気味だ。馬鹿みたいに嫌がるイフの耳と尻尾を触る。


今宵、竜人の王を取り、この宝珠を巡る騒動は収まった。

ただ、タニア、イフ、レイルに、異変を残して。

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