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20.巻き戻し

俺の手には宝竜剣ウロボロス。

目の前には、心臓を突かれたデット。


殺したあとだ。


さっきまでのことが鮮明に記憶に残っている。

俺はすぐに周りを見渡す。

居た。あの時、俺を矢で殺した幹部の死体だ。

死亡回数は引き継がれる……からだな、恐らく。


俺はデットと幹部のまぶたを閉ざせて、タニアの方へ向かう。道も覚えている!!


「……夢見てるのかな……」


「タニア!!」


そこには泣きながらうずくまったタニアが居た。


「え!?」


「さっきはすまなかった!!許してくれ!!この通りだ!!」


俺は顔を上げたタニアに対し、謝る。


「貴方は……自殺して……」


「あれは現実だ。っと言ってもこれも現実……とりあえずこの先で何があったのか覚えているか?」


「竜人の王が来る。そして私は此処で死んで……夢じゃない!!やったあ!!傷もない!!あざもない!!……でもどこかがおかしいような……」


タニアは腕や足、そのウェディングドレスと思われるものをたくしあげたりして確認している。

……傷、あざ。聞く限りじゃ拷問……か。


俺は宝竜剣を構えた。この先に居るであろう竜人の王を殺すために。


「本当にさっきはすまなかった……」


竜人の王が笑いながら奥から剣を持って、現れる。


俺はデットの殺傷の能力を引き継いだ。よって一度殺してしまえば……条件はあれど、確実に殺せる!!


「どうしてこうも上手くいかないんだよ……お前ら……お前らのせいで!!」


俺は宝竜剣で竜人の王の左腕を切り裂く。どうやら鱗を裂くには適した形状になっているようだ。ガリガリと鱗は削れて、裂ける。

続けて右腕を切り裂く。


竜人の王の、聞き取れない程の暴言混じりの発狂を聞かなかったことにし、止めを刺す。あまりにも呆気ない死に方に、笑いすら出てこない。

蘇生されないまま、一定時間さえすぎれば死人扱いになる。それまでの辛抱か。


竜人の王は、泣き面で光となって消える。確か、1週間程度だったな、墓が追加されてから、蘇生不能の死者扱いされるのは。


「ね、ねぇ?君は……君だよね?」


「俺は俺だけど……あ……いや。本当にすまなかった!!えっとリビュドに頼んで時を巻き戻してもらったんだが……死亡回数とか、記憶だとかなんかよくわかんないんだけど、巻き戻した時間の分、引き継がれているとかなんとかで……」


「リビュド……怪仏の?」


タニアは少し考えると、リビュドの事を知っているように言う。


「あぁ、そう」


「怪仏のリビュド……そう。こんな事できる龍なんてリビュドだけだもんね。それはそうと!!イフ達の所に行こう?」


タニアは服装を、騎士のような重装備に着替える。

やっぱりこっちの方がタニアっぽいっていうか……可愛いのにこんなに強そうに見えるって凄いな。ウェディングドレスより似合うのは確かだ。

ウェディングドレスも可愛いっちゃ可愛いけどちぎれているし。


俺とタニアは走ってイフ達の元へ走る。


「あ、マスターさんにタニア!!うぅ……あ、頭が痛いぃ」


「生憎吾輩もだ……不思議だな……」


どうやら竜人は片付け終わっているようだ。


「時間が戻ったっていうんすかね?」


「とても嫌な事を体験していたような気がするな……おぉ、お前さんか。元気で何より何より。ってあれ?死んだんじゃ」


全員が俺を驚いた顔で見つめる。


「あ、えっと。自殺したけど、リビュドに時間を巻き戻してもらって、今に至る……っと言う感じかな……死亡回数、記憶は引き継がれているから気をつけて」


「そ、そういうことだったんですね!!うぅ……頭がぁ」


イフが周りとは全く違うぐらい、痛そうに頭を押さえる。


「本当に迷惑をかけてすまなかった!!」


俺は今一度頭を下げる。


「あ、いや。俺らは別に死んではいないから良いんだが……仲間さんのほうは色々とあったみたいらしいからな……精神的苦痛、肉体的苦痛があってもおかしくないだろう……」


「マ、マスターさん……頭が痛いです……」


イフがよろめきながら歩いてくる。


「えっと……ちょっと手、離してくれないか?」


見たところでどうとも出来ないけど、指の隙間からほんの少しだけ黒い光が漏れているのが見えるから気になって仕方がない。


「は、はい……痛っ」


手を離したその瞬間、いきなりその光は膨張し出す。そしてすぐに元に戻る。


「お、お姉様……」


「イフさん」


「は、はい……」


イフは再び頭を押さえると、涙目で応答する。

良いものでは無いのは確かだ。


「何されたか思い出せるだけ思い出して」


「えっと……儀式みたいな感じで魔法をかけられて……」


「……人体魔術ね。タニアさんの胸にも、レイルさんの右肩にも微弱だけどあるね。ただ解放しきれていないってだけみたい」


ルメラは少し困ったように傾げる。


「詳しいんだな?」


「……まぁね。で、イフさん。リラックス出来る場所にいて。それからちゃんと話すから」


イフは俺と背中を合わせる、というよりはもたれるようにしている。


「マ、マスターさん……すいません……」


「あ、えっと、いえいえ?」


「じゃあ説明するよ?人体魔術とは、人体実験そのもの。人と、魔物を部分的に同化させる、儀式系古代魔法なの」


ルメラは木の棒を持って、地面に何かを描き出す。

人?それと獣?猫?

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