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18.他にも方法はあったはず

「なぁ……俺はお前を殺せるだけでいいんだよ……」


ペナルティ的にはデットの方が重いはずなのに……どうしてこうもあの鎌一本で覆されるんだ!?


「頼むからさ……殺させろよ!!」


フェイントをかけ、俺の胴体は真っ二つに引き裂かれる。痛みを感じる前に俺の身体は再生される。そして引き裂かれたほうの防具は、ストレージに戻って、再生される際にまた着用される。

竜人化しなくても、防御力低下が無かろうが、外では大人数が戦闘をしているわけだからそれはもう火力が馬鹿げていやがる。


「どうしてすぐに回復するんだよ……なぁ!?卑怯だろ……おいおいおいおい!!」


俺は脚だけを竜人変化させ、後ろに飛ぶ。やはりどうも竜人化時速度低下が痛い。


俺は竜人化を解きこれじゃあ戦えそうにないと踏んで、時間稼ぎの為、逃げる。


「クソ……!!」


「主、逃げるのか?」


「半分そう。っていうかほぼ時間稼ぎ」


宝珠を無くすとステータスに異変が起こる。デットの場合、それは素早さなのだろう。


「追いつかれないか見てくれ!!」


「一応追いかけてはいるが……主!!鎌が飛んでくる!!」


「!?」


首が跳ね飛ばされた。

回復……しない……。


「痛……い」


「主!!」


「……はぁ……はぁ……生きてる?」


咄嗟に頬へ向かってウロボロスが噛み付いてくれたおかげでなんとか身体が再生した。切り取られた胴体は灰になって消える。衣服はそのまま回復した方へ戻る。


「また来る!!」


前方から、戻ってくる鎌だ。

俺は、次はちゃんとしゃがんで回避する。


「すまない主……燃料切れだ……」


頬に噛み付いていたウロボロスは、宝竜剣状態になった。

普通にピンチだ。


「チッ……まずはあの忌まわしい宝竜剣からだ!!」


また鎌が飛んでくる。防げるかどうかわからないが、宝竜剣で防いだ。

反動が洒落にならないほど物凄い。

デットは弾かれた鎌を空中で掴み取ると、俺に襲い掛かった。


ここからはダメージを受けたら即死だ……。


「おらぁ!!死ね!!くたばれ!!」


正気じゃないのは明らかだ。


……弾きやすい?


俺は腕を竜人化させ、鎌をわざと受ける。


防御力が戻っている!?それどころか、前よりも強くなっている……?


「……なんだと?」


俺は鎌を受け流し、デットの手から離れさせる。

そして俺はデットが龍化する前に、心臓を宝竜剣で突いた。


「お前も……殺人鬼だ……」


デットは消えず、血だけが飛び散る。


合計で2回死んでいる。4回中2回、俺との戦闘で失っている。もし、以前にも2回分の残機を失っているとしたら……俺は人殺しをしたことになるのか……?


俺は急いでデットの持っていた宝珠を確かめる。が、色を失って、変わりに無幻の宝珠だったものに灰色が入り混じる。そしてアイテム名が、殺傷無幻の宝珠となる。殺傷の宝珠。それがデットの宝珠の名前だった事を思い出す。今はもう、無の宝珠。とだけしか、書かれていない。


やはり俺は殺してしまったのか……?俺の手で……俺が……俺の手で。

こうする気は無かった。他にも方法はあったはずだ。俺はどうしてこんなことをしてしまったんだ。俺は取り返しのつかないことをした。俺は……最低だ。みんなに合わせる顔がない。


「うああああああ!!」


叫び終わると俺は、タニアが走って行った廊下を宝竜剣を引きずりながら歩く。

廊下は傷がつき、跡が残る。


音がする方へと歩く。


次第に音は止まったが、それでも大体の場所は分かる。


俺は歩いた。


「……疲れた。あっちは頑張ってるかな?……あ!!こっちこっち……どうしたの……?」


俺は座っているタニアの前に立つ。

名無しのギルド解散。フレンド欄全員削除。


「どういう……」


「ウロボロスを……頼む」


俺は躊躇わず喉に宝竜剣を刺す。


「え!?ちょっと!?嘘……」


殺傷無幻の宝珠が俺の目の前を横切る……。



目を覚ますと、俺の目の前には、メイリとの強制デートから救ってくれたリビュドが居た。


「やぁ、起きたね」


「……?」


「名無しのギルドはどうしたんだい?」


相変わらずの口調で話しかけてくる。


「……解散させた」

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