17.恐れ知らずの勇敢な岩龍
とりあえず今私に出来ることをしないと!!
何処に何があるのかさえわからない城の中を私は走る。
装備とランスを走りながら設定して、装備する。防具の防御力も低下するだろうけど、気休め程度にはなるはず!!
「なんだ?タニア様!?遂にご結婚を!!」
「ねぇ!!宝珠知らない!?」
「ほ、宝珠……ですか?確かデット様が王の間に……ってタニア様!?」
王の間って所だ!!でも何処なんだろう……分からないよ……。
とりあえず階段があったら上がる。廊下があったら走る。
廊下は走らないって聞いたことあるけどそんなの今は知らない!!
「おぉ、これはタニア殿。遂に結婚を」
「……」
竜人の幹部だ……外の騒ぎを知らないのだろうか。
「どうやら外は騒がしいようですが、ついてきてください」
いや、外の騒ぎはもう知っている。とりあえず王の間と呼ばれるところに案内してもらえるようだから……ついて行くけど何かあったらその時はその時。
「まさかタニア殿から来ていただけるとは。王様も喜ぶでしょうな。この部屋でウェディングドレスに着替えてください」
「……え!?」
「?」
「あ、うん」
結婚する前提……?もう?でもとりあえず宝珠を返してもらえたら後はもう逃げるなりなんなりすればいいし……。
これがウェディングドレス?あんまり好きなデザインじゃ無いわね。しかも少し胸を強調させているし。
「うーん……似合わないよね。絶対あの鎧の方が似合うよ……」
私はブツブツ言いながら、扉を開ける。
「それではこちらへ」
此処が王の間……この先に竜人の王が。私達の宝珠が!!
扉を開けた先には、竜人の王と、奪われた宝珠が三つあった。
「これはこれはタニア殿……その姿は遂に我と結婚することを決意したのだな」
「最初に宝珠を返して!!」
ここまで案内してくれた幹部と思われる竜人が腰につけていた剣を引き抜くのが分かる。
「それはできぬ。タニア殿を操れるようになるまでは……」
私の宝珠をゆっくりと撫でる。気分が悪い。気持ち悪い。私はドレスを破り、動きやすいようにする。
「あの男が敗れ、宝珠を手に入れれたその時、タニア殿のあの憎きお友達とも一緒に遊んでやろう」
本当に気持ち悪い。今すぐ殺してやりたい!!……それに此奴の遊ぶは常識外れ……今すぐ取り返さないことには。天井を見上げると檻があった。恐らく私がこの位置から動こうとした瞬間、いや、もう落とす気だ!!
私は後ろにいる幹部を回し蹴りで蹴り飛ばし、急いで走って三つの宝珠を取り、ストレージに入れる。
宝珠をストレージに入れられるのは宝珠を護るものだけだから。
「チッ……あいつを追え!!」
ランスを装備。服はこのままの方が勝手がいい!!
私は振り返る。するとかなりの数の竜人が追いかけてきていた。
今は能力も蘇って、私に対するペナルティはそこまで無い。ちょっと全属性低下は厳しいけど。それでもないよりかはマシ!!
「かかって来なさい!!」
ランスと、その大きな盾を構え私は言う。そして大勢の竜人兵に対し突っ込んだ。
恐れ知らずの勇敢な岩龍。いつもそうやって生きてきた。これからもずっと。
「絶対に殺すな!!分かっているな!?」
竜人の胴体をその長いランスで貫き、投げ捨てる。
防具が重くないから、動きがいい!!
ランスを飛び台として、床に突き刺し、飛び上がる。そして盾で上から攻撃。かなり重たいからいいダメージが入る!!
すぐにランスを引き抜き、突き刺し、また突き刺す。勿論攻撃は盾で防ぎながら。
弱くなった土魔法もある程度活用して、竜人を倒す。
……なんとか全員倒せた。
今まで重装備しかしてこなかったからこんなアクロバティックに攻撃。なんてできなかったしね。
あーあ。頑張った。もう動けそうにないなぁ。それにしてもまさか重装備無しでもノーダメージなんて……こういう戦い方もあるんだなぁ。
竜人の王……は逃げたのかな。あー……疲れた。頑張っているかな……?




