15.制限時間は1週間
「そういえば滅龍賊の皆には……」
「言ってないね……言ってもいいけど大人数で行動するのは感心できない……ってタニア!?」
タニアが狭間を通って来る。
「お願い!!私にも行かせて!!足で纏いになるのは分かるけど……お願い!!」
「で、でも、あれだぞ?残り残機3ぐらいだろ?大切にしなきゃだし、それに龍獣の宝珠を護る龍を登録してないから、空間の狭間を使っては逃げれないんだぞ……それに飛んでも龍時移動速度低下が足を引っ張って……」
それだけじゃない。死ぬ確率だってあるわけだし、っというかこれでもう世界が崩壊することだって……。
「それでもお願い……」
リミットは1週間程度。出来ることなら1日で奪還したいところだな。
「じゃあ……あの城が目的地だな」
「あぁ、そのハズだ。しかもここ、竜人だらけじゃないか!!まさにパラダイス!!素晴らしいよ!!」
竜人フェチが発動してしまったか……。
「ま、待ってください!!」
「ぐはっ」
恐ろしく早い手刀。俺じゃなきゃ見逃しちゃうね……。
イフの手刀でリベアが倒れる。
「興奮して鼻血出して気絶しちゃってますね」
俺もされた首に手刀。なんでこんなに的確なんだよ。
「何してんすか?旦那?」
「おぉ。どうしてこんなところに居るんだ?」
「!?……ルドとレクト!?それにラーデンとルメラとアメラも?」
古今夢走メンバーの5人?
どうして此処に?
「ちょっくらあの城を落とす」
レクトが城を指差す。
「お、おう。え?」
「まぁそう言うことっす。旦那らもあの城を落としに?」
「そんなところだな。閃光、大地、疾風の宝珠が奪われたらそりゃあ黙ってられないでしょ」
「俺らは最近あの王国、諦め切れずに、色々不審な行動があるって事で来た次第。やっぱり的中か」
じゃあ別に潰す必要は無いような……まぁ俺らのほうもだが。
「っていうか……リベアさん大丈夫なんっすか?」
「大丈夫大丈夫。気絶しているだけだから」
今はこの状態の方が楽だし……まぁこの状態で連れてきてもあれだし、あの空間に帰しとくか。驚くだろうな。
「結局増えてしまったな」
「まぁそうだな。俺ら、タイムリミットが1週間しかないんだ。明日までに宝珠だけでも奪還したいと思っている」
1週間。もしかしたら城には無いかもしれないけど、まだ時間はある。早めの行動は悪い訳じゃないしな。
「じゃあ、古今夢走と名無しのギルドの合同作業って訳だ!!」
「姉さん……ドジ踏まないで下さいよぅ?」
「あったぼうよお!!」
この先が龍獣の領地。もとい龍獣の国。勿論あのメンテナンスが入って以来も国としては機能している。
城までは非常に長そうだ。
「まぁ、あの二人はあれでもかなり忙しいからな。ギールは引退した今も盗賊を育成しているのだとか。ディクはあぁ見えても一国の騎士団長様だしなぁ。ギールの盗賊団に対抗出来るぐらいの騎士を育てるとか」
どっちも元は中が悪そうだな。逆に良いとも言えそうだけど。盗賊団のリーダーだったギールと、一国の騎士団長のディクかぁ。普通なら敵対関係にありそうなのになぁ。
「そういえばペナルティが生じるんだっけ?」
「まぁ。そうだな」
「じゃあ尚更俺らがついていて悪いことは無いな」
こうして古今夢走と名無しのギルドとで、宝珠奪還作戦が開始された。




