表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/89

11.死神のような死龍

「……」


黒いボロ布を羽織った鎌を持った、如何にも死神ですと言わんばかりのその男が、窓から見えるギルドの外で大勢の竜人に見られながら、じっと立っていた。

そして更に奥には竜人の王と思われる者が兵士に守られながら歩いてくる。いや……ただの幹部か?


「あれがデット。どうするんだ?」


「レクトはどうしたんだ?仇を打つとかなんとかって」


「あぁ、メイリから聞いてなかったのか。レクトはアルメリと共に組成の儀をしに行ったぞ。あれでも浮遊してられるのにも制限時間があるからな……まぁ充分間に合うだろう。心配はいらねぇな」


俺は外に出た。


「この小僧が宝竜剣の持ち主か。どうだ?死にたくなければ、宝珠と共に渡せ」


「そうだなぁ……ただ引き下がって、一生関わらないってのも、燃えないからなぁ」


「何を言っている?小僧。お前はこれから死ぬんだぞ?」


観客という名の火力増幅機。竜人共を始末しようとしている間に殺されるのがオチだ。さて……どうするべきか?


「対戦場所は、僕が決めさせてもらう。それぐらいは良いだろう?いくらなんでもこちら側が不遇過ぎるのでな」


リベアがデットを睨みつけながら歩いてくる。


「宝竜剣に加え宝珠2個ってのはいくらなんでもキツいよなぁ?」


アヴェルが煽り口調で来る。


一番守られている竜人のほうを見ると、豪華な衣装で見づらいが、喉に魔法陣が展開されてあった。


「あれはなんだ?」


「喉潰しだ。対象は喋れなくなる。アリファが付与してくれたみたいだな」


喉潰しか。物凄くなにか言いたげにいるが、拘束魔法も働いていて動きたくとも動けないわけか。

大体こちら側の奴らがさせたいことは分かった……。


「対戦場所は事前に用意している。いいな?」


次は操作魔法にて下げるはずのない頭を下げさせられる。おそらくアリファの魔法は、見えるものにしか見えないように設定されている非常に高度な技術を催すものなのだろう。

更に観客である竜人らも操られている模様。仲間全体で取り掛かる勝利ってわけか。現に奴らもあの鎌の力を利用した、火力底上げを狙ってたわけで、更に等価交換すら成り立っていなかった。文句は言えないだろう。

それに……木に隠れているみたいだけど7人程いるからなぁ……。


「まさか……テメェら!!」


「さぁ?不平等条約はぶち破らないとねぇ?」


アヴェルはお得意の煽り口調を、更にウザったらしく言う。


「何が1対1なんだか。1対8とは落ちぶれたな?デット。俺はそろそろ寝るとするよ。残り行動可能時間が45分しかねぇ……」


「全ク、ホネノナイ連中ダナ……アキレタ」


「つまらない。2人目のリーダーの為だとは言え、つまらない。実に満たされない」


メテウス、スケイル、ミイラの子が、計7人ものデットの配下と思われる者を担いできた。

まさかもう駆除済みだったとはな……。


「……!!」


「クソがあああああ!!」


デットが狂ったように鎌を振り回し俺に攻撃を仕掛けてくる。一振りするたびその鎌から突風が巻き起こる。

油断した瞬間ミンチ確定だ。


「主、気をつけよ。龍化するぞ」


そうウロボロスが言った途端、デットの身体は禍々しい血塗れの布を羽織ったデットの龍化した姿があった。

大きさは丁度リベア並の大型系。二足歩行で凄い威圧を放ってくる。

そして手には鎌が。龍化しても死神っぽいんだな……。


「ちょっと失礼するぞ」


「痛!!」


噛まれた……?


「わらわがかんでいふあいだは属性値が最大まで上がって龍属性付与するのじゃ」


ウェポンスキルか。一応この状態でも可能なんだな。

よくわからないけど、つまり戦えってことだよな。

あの対決用に作った部屋へ繋がる空間の狭間がデットの足元に広がる。


「主、頑張ってくれ」


アリファがその対決用に作った部屋の映像を映し出したモニターを作る。

そうこう言っている内にデットは対決用に作った部屋へ飲み込まれた。


「じゃあ、この意味不明な戦いを終わらせるか」


俺は対決用に作った部屋のドアの前に繋がる空間の狭間を作り、中に入る。


「主、今は圧倒的有利状況にある。頑張ってくれ。わらわにできることは、ウェポンスキルを常に発動し続けることだけだ……」


「噛まれている部分を竜人化したら牙が通らなくなるか?」


「流石に硬すぎて不可能だな」


そっか。まぁ良い。噛まれているのが左腕だから、右腕でぶん殴ればどうってこともないだろう。


その対決用に作った部屋に入る。


あんなにも巨大な龍が入っても全く埋まらないこの部屋はどこまで広く作られているんだよ……あいつら勝手に広くしすぎだ……膨大な魔力を使っただろうに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ