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9.尾を噛む蛇


引き剥がそうとするがやはり剥がせない。それどころか鱗が剥がれそうな勢いだ。

まぁそうは言っても傷ついた鱗も一旦人間の状態にしてしまえば綺麗になるんだけど。でも今それをしてしまうと皮膚の方が危うい。


「やれやれ……メイリとメイデは仲がいいのか悪いのか。ライバル同士なのかそうじゃないのか」


「レイルか」


「イフと君か。その腕……どうしたんだ?」


すぐに気づく。まぁそりゃそうだ。目立つだろうしな。


「宝竜剣ウロボロス。ウェポンスキルを発動させようとして……この有様だ」


「それは大変だな」


引き剥がせないし、引き剥がそうとすればするほど力が強くなっていくし。

こりゃダメだな。


「しばらくはこのまんまでいると思うから……」


「そうか……まぁウロボロスには魂が宿っている、って言うらしいからな。若しかしたらその影響なのかもしれないな。これは吾輩の記憶の片隅にあるものなんだが、ウロボロスは竜じゃなくて蛇だったりするからな……毒とかあるかもしれないぞ」


蛇……なのか。宝竜剣ウロボロスって非常に紛らわしいな。竜なのか蛇なのかはっきりしろってんだ。

それに持ち主を殺す毒って……酷すぎやしないか?


「まぁ死んだら死んだでウロボロスも取れるだろうし」


「それを願うしかないな」


今のところ噛まれているだけ。っていう感じだが本当に毒持ってたりするのか?だとしたらかなり厄介なんだが。

でもいざ使うとなれば強力な武器になり得るか。どっちにしろ、毒があるかもわからないし、今は変化が出てないから大丈夫だろう。


俺はそっとウロボロスの頭の部分を撫でる。


するとウロボロスは急に発光し出し、噛まれている腕に冷たい何かが乗る。


「蛇!?」


「ふぅ、やっと開放された……君がわらわの主だな?」


その灰色の蛇は俺の腕からニョロニョロと首元まで服の中を伝い登ってくる。


「わらわはウロボロス。君の剣にして君を守る者になろう」


「しゃ、喋ってる?」


蛇が……喋ってるんだけど?ま、まぁでもこの世界じゃ、龍だって普通に喋ってたりするし……っていうか今更過ぎるけど、爬虫類は人に慣れはするけど、人に懐かないとかなんとかって聞いたんだけど!?


「へ、蛇が……喋ってますね」


「蛇が……喋ってるな」


「ん?そこまで不思議なことか?わらわもそなたらも、同じようなものではないか」


確かにそうだな……武器になったり、蛇になったりは。俺にも宝珠を護る龍達にも俺にも当てはまるな。

それにしてもこんなことがあるのか?剣が蛇になるって。それに開放されたとかどうとか。


「えっと……開放されたっていうのは?」


「文字通りだ。元の姿は人の様な姿でな。まぁその意味合いからするとまだ不完全なのだが……まぁ良い。わらわはお腹がすいた、肉を出せ」


肉……!?まぁ一応蛇にしては大きな身体をしているが肉って……指定が肉ってちょっと……まぁネズミを食うぐらいだし当たり前かもしれないけど。


「さもなくば血を吸うぞ」


「肉って言われてもなぁ……って痛!!」


噛み付いてきやがった!?決断が早すぎるだろ……なんか目眩がしてきた……。

力がすっと抜けていくのがわかる。


「ぷはっ。美味しかったぞ。これで契約は成立だ……ん?主?」


視界がぼやけてきた……。





暗い空間に一つの光が刺している。そこに向かいゆっくりと歩き出す。

ようやく明るくなった時。そこにはかなり長く大きい蛇が尾を噛んで円になっているのを見つける。そしてその円の中に一つの景色が映りだす。火が燃え盛り、竜人と思われる者達が人々を殺している景色が見える。それだけじゃない。龍と思われる何が奥から建物を破壊しながら歩いてくるのも確認ができる。

この蛇は何を伝えたいのか、わからない。わかりたくない。



「……!!」


「……おはよう……ふわぁ……早起きなんだな」


ウロボロスが俺の腕に巻き付きながらそう言う。

さっきの夢……みたいなのは一体……前のメイデのものといい……何かを暗示しているというのか?


「昨日はわらわが悪かった……許してくれ」


「う、うん」


俺はソファから降りる。夢。ただの夢……だよな。深く考える必要なんてあるわけがない。ただの夢なんだから……。

でもあれがもし本当に起こることだとすれば、もしかして俺の宝珠と、誰かの宝珠が奪われてしまうのでは無いだろうか?竜人に……。


そのまま巻き付かれている左腕を見る。あれは夢じゃなかったんだな。

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