4.岩龍と竜人達
俺は部屋に繋がる狭間を作る。
「レクトはどうするんだ?」
「仲間が、用が住んだらすぐに来いってうるさいからなぁ、まぁ帰るかな」
「そうか、じゃあな」
「おう。っていうか本当は崩土の宝刀ガイアスラを手に入れる予定だったからな。んじゃぁな。って時間ギリギリだなっ!!あっぶねぇあぶねぇ。じゃ、元気でな!!」
レクトはそう言い、走ってどこかへ去って行った。
「あの人間、不思議な力を感じるな?」
アヴェルがそう言ってくる。あ、異様な刀使いであるアヴェルを紹介するの忘れてた……まあいいや。
「タニアが助っ人で呼んでくれたらしいな。まぁ俺の友達って言ったところかな」
「奴と一度剣を交えてみたいものだな」
アヴェルはそう言い部屋に繋がる狭間を作り、その先にもまた狭間を作る。ギルドに繋がる狭間だろう。
俺は作っていた狭間に入り、同じく滅龍賊のギルドに繋がる狭間を作る。
「主!!こっちこっち!!」
メイデがジャンプしながら手招きする。どこにそんな元気が残っているのやら。
前にメイリに憑依され連れていかれたときよりも断然に明るくなっているな。
俺はメイデについていく。
「今、捉えた少数の竜人達から情報を絞り出そうとしているところらしいよ。メテウスが作った檻、本当に頑丈で、竜人がフルパワーでこじ開けようとしても開けれないんだって!!」
「すごいな……」
檻を折り曲げるって言ったら、火炎の宝珠を取り返しに行った時以来だな。
あの時は結構簡単に曲げれたけど、今回はもっと頑丈に作られているのかもしれないな。
そうして竜人達が閉じ込められている部屋に入る。
そこにはリベアと。タニアと。リヴェルと。こっちを一切見ないアリファの姿があった。
アリファはというと光で出来たようなモニターを見ている。そこにはメイリが乗り移ったと思われる竜人の姿があった。
そして檻には竜人が。
「おい!!出せよ!!」
「だから質問に答えて!!」
タニアはかなり怒っているご様子で。
「お、来たんだな」
「まぁ気になるし」
「主、タニアって結構気荒いんだな……初めて知ったよ」
「みたいだな」
竜人が目の前にいるのにも関わらず舐めたい等と言わないのは本当に興味が無いからなんだろうな。
「そこ!!今大事な話し中!!」
「は、はい」
「ごめん……」
「すまない……」
凄い怒ってる……鬼みたいだ……全員ひれ伏しちゃっているよ……。
「だからタニア様!!我々の王とご結婚を!!」
「嫌よ!!っていうか前にもそれはお断りしたはずですが!?そしてその時は返り討ちにして、二度と私には関わらないと!!」
前に結構いざこざがあったからか余計怒っているな……。
「タニア様でなければ務まらんと王が!!」
「嫌よ!!なんで他人にそんなこと言われなきゃいけないの!!」
「な、なぁ、落ち着こう。とりあえず怒ってちゃなんも聞き出せないからさ。な?」
俺はとりあえずタニアを宥め、リベアとメイデに後を任せた。
「俺も竜人のようなものだ。知っているだけで良いからな。情報を吐いてくれ」
俺は全身を竜の物にしてみせる。目の前の竜人達と、同じような姿になっているはずだ。
竜人達は勿論驚いている。
「人間が竜人に……!?」
竜人達が互いに顔を見合わせる。
そしてまたこっちを見る。二度見か。
後ろにいる竜人フェチのリベアがこっちに向かってこようとするのを、必死にリヴェルとメイデが止めようとしているのが分かる。
「な、なんでこちら側ではなく敵側にいるんだ!!」
「元が人間だからかな?それよりも、なんでタニアを連れていこうとするんだ?」
「それは結婚をする為で……俺達だって下っ端だからこれだけの情報しか教えて貰ってないんだよ!!信じてくれ!!」
本当にそれだけなのか……怪しいところはあるんだが。ん?紙?アリファからだ。
その竜人達は嘘をついていない。と書かれたものだった。
「人の心読めるのか……?」
こちらを見ずにコクリと頷く。
普通に喋れば良いのに。っと考えてしまったが、きっと人と喋るのが苦手なのだろうな。前だってそうだ。和解する時、俺にダイレクトメッセージで伝えてきた程からな。もっと自分に自身を持てばいいのに。
っていうか人の心が読めるのは凄いな……。
「ど、どうしたんだ?」
え?何々!?なんで俺をジーッて見てるのさ!?
あ、少し微笑んで、またモニターを見始めた……なんだったんだ……。
「気に入られているんだな」
アヴェルがリベアを押さえながら言う。
「そうなのか……?」
モニターを見てみると、メイデが憑依した竜人がもう一人の竜人と会話しているのが見える。
まだ憑依していることに気づいていないみたいだな。
そのまま竜人のアジトと思われる場所に入っていく。
また紙を受け取る。
見たところ、森の真ん中で大体の位置は特定できた。けど上や、転送系で侵入しようとすると強力な結界で拒まれるから徒歩で行く必要がある。
というものだった。




