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2.罪滅ぼし

幽霊化ねぇ……そこまで強い、くっそ便利って訳じゃなさそうだけど要するに再復活に遅延効果があるわけか。それにメイリ自体に憑依する力があるし。まぁ時間稼ぎぐらいにはなるのか。


「あ、なんとなく分かった。何故俺が見えないはずの霊が見えるのか」


「急にどうしたんだ?」


「お前さん達に会う前の話なんだが。街をぶらぶら散歩してた時、なぁんか怪しい兄ちゃんが店を開いていてな、幽霊が見えるようになる目薬はいらんか、ってさ。遊び半分で買ってさしてみた訳よ。多分その影響だろうな」


レクトがストレージからパッとその目薬を出した。


「あ、それ、リビュドが、開発した、って、言ってた、目薬」


リビュド……確か怪仏の宝珠を護る怪龍だっけ。俺をあの状況から救ってくれた。今目の前にいる幽霊さんに無理矢理デートじゃないデートに連れていかれたとき、助けてくれたよくわからない人。


「デートの、邪魔を、した……憎い奴」


「で、デート!?え!?嘘!?」


そういえばタニアに言ってなかったな。


「デートなんてもんじゃないよ。無理矢理だからな」


「うぅん、助けてあげる、代わりに、デートを、約束した。だから、無理矢理じゃ、ない」


無駄に食いつかなくてもいいから……。


「やっぱり敵とも絡んでた最低ハーレムじゃない!!」


「好きでハーレムになったわけじゃない。っというか勝手に絡んでくるだけだろ……」


どうしてこうも俺を虐めたがるんだろうか。


「ま、とりあえず調査するだけしようぜ?後ろにはアリファって子がついていて、いざとなったら撤退魔法陣を展開させてくれるみたいだからな。そればかりじゃなく、攻撃力上昇とかのバフを付与してくれるから、安心して突撃できるわけだ」


アリファが居るのか、何故か口で喋らずダイレクトメッセージで伝えてくるあの少女か。


そういえばHPの隣のところに盾に上矢印が刻まれたアイコンとそれと同様の剣のアイコンがあるな。触れてみると、防御力上昇と、攻撃力上昇のものだった。そして親切な事に効果残り時間まで書かれてある。


「じゃあ……あ」


遠くの方で一人の負傷した竜人が森に入った。


武器は今のところこの鱗で包まれた素手と足位だから他よりは劣るけど、それでもある程度戦えるから頑張るか。


「あの負傷兵を追おう。とりあえず奴らのアジトだと思われる場所の正確な位置だけ知れれば良いからな。アジトじゃない可能性もあるが、知らないよりかは知っておいた方が良いだろう」


「えぇ、そうね」


「だったら、私一人でも、出来る」


メイリがすぅっと俺の前に来る。


「あの、負傷兵に、気づかれないように、憑依して、場所を見て、撤退する。それで、いい?」


「本当一人でこなすつもりか?幽霊さん?」


「……良いところ、見せなきゃ」


「本気でやるって言うなら、くれぐれも無理はするな……?少しでも危ないと思ったら帰ってきてくれ。誰も責めないしさ」


「これは……私達の、せめてもの罪滅ぼし、だから。多分これからも罪滅ぼしはするから」


そう言ってすぅっとその場から消える。

パーティの欄からメイリが消えた。恐らくこれは憑依成功と捉えて良いのだろう。


「じゃあ俺達……は」


「囲まれてるな」


「……そうね」


いつに間にか5人の槍を持った竜人に囲まれていた。


「あれ?タニア様だ!!」


「え?嘘だろ?って本物だ!!」


「暴れて正解でしたね!!」


「さ!!タニア様!!汚らしい人間達にこだわらず、我々の王とご結婚を!!」


結婚……?それになんだこの今にも陽気なBGMが流れそうなこの会話は。さっきまでの会話の流れが馬鹿みたいに吹っ飛んでったぞ。


「あ、そうだったんだ。結婚するんだ。おめでとう」


「少しは止めなさい!!薄情者!!って言うか結婚はしないとあれほど!!この方と結婚するってもう決めてますってあんた達の王に言っといて下さい!!そしてついでにしつこい!!失せろ!!」


え……えぇ?どういうことか説明を早く。そもそも寝起きで話がまとまってないんだから丁寧な説明を。


「貴様!!タニア様に何で餌付けしたんだ!?教えろ!!」


「お、俺は何も……」


ってか、くっつかないで……なんか怒ってるからこの人達。


「待て待て。浮気してたのか?オイオイオイ」


「レクトまで!!」


「嘘嘘。そんなことするような奴じゃ無いってことぐらい俺だって分かる」


本当に唯一の俺の理解者でいい友だ……レクトは。


「さぁ、早くこちらへ!!」


「嫌!!この方とは……!!」


面白くはないがとりあえず、タニアが作ったこの流れに乗ってみようかな。


「俺はコイツを……手放す気は無い」


「……!!」


横からドロップキックが飛んで来た。


「いいいい今、なななななんて言った!?あああああ主!!」


「痛ああああ!!骨折したあああ!!絶対ぃぃ!!」


痛い……猛烈に痛い。竜人の鱗を通り越して猛烈に痛い!!

ってリベアか。


俺の転移特典の一つで、常闇の宝珠を護る邪龍。高所恐怖症の竜人フェチの少女で、本当かどうかわからないのだが、竜人を見るとかなり人格が変わるボクっ娘の邪龍。


「あわわわ……手放す気は無いって……私……大事にされてる?」


「まぁ仲間だしな……いてて」


「僕にも言ってくれ!!その言葉!!」


ど、どうしたんだよ……結構怖いんだが。とりあえず言えば良いのか?


「て……手放す気は……無い?」


リベアが気が抜けたかのように地面に座り込んだ。


「あ……僕としたことが取り乱してしまったな……すまない……あ、竜人状態じゃないか!!」


今頃気づいたのか。ってまたぶっ倒れた……なんだったんだ一体。


「コイツら相当ヤバいぞ?」


「て、撤退だ!!」


なんか……助かった?確かに事情を知らない人たちからしたらヤバい奴らなのは認めるが。

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