28.許し
「ごめんなさい!!私たち滅龍賊をお許しくださいですの!!」
滅龍賊の龍達は同時に頭を下げた、俺が見る限りその下げている頭には悪い感情があるようには思えなかった。
「いや……僕は全然良いよ。そうやって反省できるだけの心があれば」
リベアはリベアなりに許す形を選んでいたみたいだった。それにみんな、嫌な顔はしていない、きっと全員、滅龍賊の世界再構築撤退派を許すようにしているんだろう。
「私も追いかけ回された時は……とても怖かったけど……私は許せるよ?人にも龍にも、誰かを傷つけちゃうことはあるからね!!それに、ちゃんとごめんなさいが言える人達だから、仲良く出来ると思うな」
少し経ってメイデが話す。いい仲を築けるようになりたい。っという、メイデなりの気持ちだろう。
「吾輩はやはりまだ完全に許せる状況では無いにしろ、どんなものでも受け入れられる気持ちだけは保ちたい。だから許す。それだけでいいだろう?」
宝珠を奪われた立場であるレイルも、自分の為に許す、という手段を取ったみたいだった。
「シルフィも許すよ〜!!だっていつまでも憎み合いなんてつまんないもん!!」
実にシルフィらしい。きっと最初の頃からそう思って居たのだろう。
「私もリベンジを果たせたから良し!!それと、許されないかもしれないけど。国、今じゃ修正が入って領地って呼ぶようになったけど。火の国、水の国の人達にもちゃんと謝って欲しいな?居場所が無くなっちゃった人とか……沢山いるから。私も手伝うよ?」
そういえば確かにそうだ。俺らに謝ったってどうこうなるものでもないことは確かだ。被害を受けているのはそこに住んでいた人達もそうなのだからな。
「一度犯した罪は謝ってどうにかなる物じゃ断じてないよ……でもこれから先だよね。どう自分達が動くか!!私はそれに期待をして許すよ!!」
次に期待をして許す。っていう形をとったみたいだな。
人それぞれ考え方は違うわけだけど、それでも許そうとする心の広さに俺は驚いたな。
「特に俺自身が受けた被害は、みんなに比べればちっこいもので、どっちかというとただ手伝っていたに等しいから、俺に許しを問うのは何となく違う。っと思うわけだ、こんな薄っぺらくて変な応えで……すまない」
何故か俺が謝っていた。なんかこういうの苦手なんだよな……改めて分かった。
「……ありがとう……ございます……!!」
リメルの透き通った青い瞳には涙が浮かんで潤っていた。
今まで敵だと思っていたイメージとは正反対過ぎた。
リベアが後ろに立ち、小さく言う。
「育ちの良さそうな乙女が泣いてるよ?」
俺は何故かギルドのアイコンを調べた。そこには同盟ギルド。というものを見つけた。
「もしよければ、の話なんだけど。名無しのギルドと、滅龍族で、同盟組みません?」
後ろでこくりと頷くリベア達。
「え!?み、みんなは……?」
メイリら一行もこうなるとは予想してなかったらしく、かなり驚いているのが分かる。
「私は、嬉しい」
「まさか……な。夢でもあるまい、本当にそんなことしちまって良いのか?」
俺はアヴェルの問に頷きを返した。
「スマナイナ……ソコマデシテモラウ……シカクナドナイノニ」
一通のメールが届く。
差出人はふわふわした服を着て、少し後ろに立っている。アリファという人だった。あの時、階段で足をパタパタさせてた子だ。
内容は。きっと貴方は私のことは知らないと思うけど、私は裏で撤退する時のあの魔法陣を展開させてた本人です。まさかこんなことになるなんて思ってもいませんでした、こんな私とも仲良くしてくれると嬉しいな。っという文だった。
少し頬を染めたアリファは、メテウスの後ろに隠れた。
「リーダーがそれを望むなら……私はリーダーに付いて行く。リーダーが増えるなら、そのリーダーにも付いて行く」
ミイラのような子が喋る、かなり包帯で掠れてしまっているがなんとなく聞こえる。
「よろしく……頼む」
ここに居る全員の許可が降りる。
「じゃあ送信するね」
俺は、リメルに同盟ギルドの申し込みを送信した。
「ありがとうございます!!」
ありがとう、ありがとう。っと言い、泣きながら俺にしがみついてくる。
「本当に主は好かれる体質のようだな」
「なんでだろうな?初対面なのに」
凄いしがみついて泣く。服が涙で濡れてしまったな。
そうして、同盟ギルドの滅龍賊の龍全員の宝珠を、無幻の宝珠に登録して、何時でもこの空間に来られるようにした。
こうして、俺には3日程度の。メイデ達にしてみれば凄い長い期間の間に渡る出来事が今、幕を閉じた。




