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24.名無しのギルド制作


もうほとんど食べられちゃってるし。


「で、何を聞こうって思っていたの?」


「あ、いや別に。特に大事なことでもないんだけど龍の全員が全員を知っているっていうわけじゃないのかな、って」


食べられたクレープを見ながら言う。

俺が持って、半分以上は横からメイデが食べているという不思議な絵面になっている。


「確か私とリベアが会った時ってすっごく最近だよね?」


「まぁね。そういやその時もクレープ落としてたな……メイデは周りを見なさすぎだ」


「えへへ」


「褒めてない」


「え?」


少し落ち込んでいるな……まぁだからってどういうわけでも無いんだが。


「よし、じゃあギルド作って霊魂の廃墟ってところに出発だな」


俺達はまたギルド制作役所がある場所に向かって歩いた。

俺以外かなり独特な服装をした奴が多いおかげでかなり目立つ、おそらくそれが原因で色々目につかれると思うんだが……。

それに全員、次元の狭間に入れれば選択して天日干ししたかのような感じになるから、最低限の衣類しか持ち合わせてないんだもんな。

だからってどういうわけでも無いんだけど。

新しいのが欲しいって言ってくれればいいんだけど……まぁ特に問題は無さそうだし金無いし。


「どうした?イフ、それにタニアまで」


目線の先は綺麗な服屋だ。


「私達ってずっと同じ衣類を着てるよね?戦闘時も」


「た、たしかに。ファッションとかも……知っておきたいですよね」


「確かにそうだな……吾輩も新しい服が欲しい」


どんどん新しい服を求めてきたな……金出せって言っても出せないぞ……?


「主〜買って!!」


「手持ちにある金額は6400円。悪いな、全員の分は流石に無理だ。それどころか一人も無理だと思うが……」


「稼ぎの悪い主」


「うぐ……んだって金稼ぐ方法わかんねぇんだもん!!あ、そうだ。金を使わず衣類を調達できる方法ってなんか無いのか?」


入店する前に話を持ちかける。


「あ、それならモンスターからドロップする衣類があるね。そうそう、僕だってかなり旅をしていたからね。きっとストレージにある程度入っているよ……あったあった。今僕達の装備しているのが初期装備の奴らしいね」


「初期装備?って言ってもみんな服が違うよな……リベアは黒で統一されていてなんか見た目もカッコイイけど、メイデに関しちゃ結構露出度高かったり」


どういうことなんだ?


「確か初期装備は自分の体格や性格、その人のイメージに合わせた物になるんだ。あまり気にしてなかったが、もしかして僕の初期装備がこういう感じの服なのは僕の胸が無いから?」


「あはは!!そうかも!!ぺったんこだもんね!!」


リベアの怒りのげんこつをもろに食らうメイデ。


「あいったたた……」


「ま、僕が言いたいことはドロップする衣服の方が追加効果とかあったりするから、そっちの方がいいんじゃないか?って思うんだが」


リベアがストレージを操作して別の服を装備する。


「これは僕とは別の人の魂を持たない邪龍からドロップした防具だね。何故か襲われてとりあえず、倒して手に入れた品物だよ、今までギルドに入らないと取り出せなかったからちょうど良かったよ、ドロップアイテムは出たら自動的にストレージに移動するから今まで手に入れていたのに装備できなかったわけだよ」


別の邪龍から手に入れた防具か……黒で統一されていて、なんか凄くカッコイイ。


「あったあった!!シルフィも防具あったよ!!疾龍からドロップした防具が!!」


「あ、そうだった。わすれていたな、侵入した賊を探し出すのを、手伝う代わりに疾龍討伐を手伝ってそれで手に入れた物をある程度渡す約束を」


「あ!!そうだったそうだった!!レイル覚えていたんだね!!シルフィすっかりわすれていたよ〜」


結構前からシルフィとレイルは関係があったわけか。


「うん!!確かに頂いたよ!!風双迅・フォリア!!いやぁ〜会いたかったよぉ」


「フォリアってなんだ?」


「武器の名前だよ〜、幻想級のレア武器!!タイプは双剣!!いやぁ〜早く試し斬りがしたいなぁ」


武器の名前か、そういえばシルフィも防具を着たな。結構涼しそうで軽そうな服って感じか。

リベアのもそうだがこれは防具って言うのか……?ただセンスのいい服だというか。


「龍からドロップする装備品は全ておぞましい力を秘めているから結構力をMっている人が狩りに行ってたりするんだけどその大半が失敗して死んで、リスポーンしているんだよね」


「リスポーン?」


「ん?あぁ。リスポーンだ。死んでも数時間で蘇れる、蘇生魔法持ちが居ると直ぐに戦場に復帰できるんだよね」


「つまり何度も死ねると」


「うぅん、制限は4回。その中でアイテムの効果等で死亡可能回数を増やすことも出来るし、時間経過リスポーンする前に蘇生魔法を使ってもらえたのならカウントされない。でも僕達宝珠を護る龍は死んだら宝珠が次元の狭間にあっても出てきてしまうから1回も死ねないんだ……それに奪われたら、奪われている間、ステータスが著しく低下するし能力も、龍化もできなくなるから……」


俺達の場合は死ぬと復活は出来ても弱い状態になっているっていうわけか。

お、この都市の地図が載ってある。えっとギルド制作役所は……もう近くじゃん。


「よし、行こう!!」


「み、見ていくだけでも〜」


「とりあえず7時に霊魂の廃墟ってところ行かないといけないからまた今度!!それになるべく金があった方が良いだろうし」


「わ、わかりましたぁ」


とりあえずギルド制作役所にたどり着く。あの地図か正しければこの建物がそのはずだ。

俺達はとりあえず中に入った。


「この紙にマスターが書くだけ。これだけなら僕達はいらなかったよね……」


「ま、いいんじゃないか?メイデ達が居なかったらレクトにも会え無かったし」


俺はちゃちゃっとギルド名を書き終える。えぇっとその下のエンブレムって……何?


「あぁ、これはギルドの紋章だな」


「俺、絵心無いぞ?」


一瞬あたりがしーんっとする。

なんかごめん。でもこれが現実だ。


「確かタニアって結構絵上手だよね!!シルフィは知ってるよ〜、あの壁画は全部タニアさんが書いたんでしょ?」


「よく分かったね。でもあまり自身は無いからどうしてもじゃないと書きたくないんだけど……そうだ。名無しのギルドなんだからエンブレムも何も書かなくても……」


必ず書けみたいなこと書いてあるから無理だな。


「……しょうがない……書くよ。でも私の脳内にあるイメージを表すだけだからね?」


「大丈夫大丈夫!!」


タニアさんペンを持って書き始めた。

龍が宝珠を掴んでいる、そんな絵だ。かなりカッコよく仕上がってあってかなりいい味が出ている。


「全然いいじゃないか、凄いじゃん」


「そっかなぁ?」


「後は僕達がこの欄にサインを入れるだけだね、そういえばマスターのサインって……空白なんだ」


「しょうがないだろ……無いんだから」


とりあえず全員が書き終える。その後俺は魔法陣の上にその紙を置いた。少し経ってから紙は消えてなくなった。

そしてHPやMPの表示の下に新しいアイコン。タニアが書いたエンブレムが映っていた。


「一応通ったみたいだな」


「ある意味奇跡ね……」


今の時刻は4時40分か……クレープやら何やらで色々時間くったんだな。


「じゃあその霊魂の廃墟に向かうか……」


まだ時間はあるっちゃあるけどその霊魂の廃墟って場所がわからないからなぁ、残りの時間は霊魂の廃墟を探す為の時間だな。

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