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22.霊と宝刀とクレープと…

さてと、どうやらクレープは買ってないみたいだな。俺らって普通にとんだ迷惑客だな。


「じゃあ目的地に向かって行こうか。って、またあんな風にくっ付いてくるなよ……?」


「駄目……?」


「駄目だ」


メイデがすがりついて上目使いで俺を見る。動揺を狙っているのか?


「ケチ!!」


「!!……静かに……」


リベアが俺とメイデの口を手で塞ぐ。

誰かにつけられていたのか?


暗い寒い震えた声が奥の方から聞こえてくる。


「ねぇ、なんで、なんで逃げたの?私とっても、とっても寂しかったよ」


「メイリ!?」


歩く、というよりは滑ってこっちに向かってくる。


「お願い、私の、手の届く、範囲に……」


すぅっと冷たい風が頬を伝う。

今は真昼、なのに真夜中の心霊スポットにいるかのような錯覚に陥る。

そのままメイリは俺の頬に手を出し、撫でる仕草をする。しているだけで俺には不気味な感じしかしないんだけど。


「やっぱり結構好かれているねぇ」


レクト!?帰ってたんじゃ……?


「いや〜な感じがして、急いで戻ってきたらまさか的中しているなんてな」


「何の用……?」


「ダチの助太刀に来たってところだ……幽霊さんよぉ、大勢の仲間を引き連れちゃってさ」


レクトさんの腰には二本の刀が装備されており、両方とも引き抜く。片方は黒色の刀、もう片方は白色の刀だった。


「それって閃光の刀ミトラス!?」


「しかも常闇の刀のツクヨミまで……レクト、お前、一体何者なんだ!?」


「……ダチ思いのコレクターってところだな。さて、此処で騒ぎを起こすのもあんまりしたくないものだが」


「しょうが無い、今日の午後7時に、霊魂の廃墟にて待っているから」


そのまますぅっと消えていく。


「いや……また助けられたな……」


「っていうかあいつら何なんだ?完全幽霊だぞ、ありゃ」


「滅龍賊っていう奴ら、よく分からない奴らだな」


そうか。っと言って赤い目を光らせたレクトは出していた刀を仕舞い、そのままその二本の刀の姿を消した。


「いやぁ、感って案外当たるもんなんだな」


「質問良いか?」


「ん?あぁ良いぞ?」


「何処でその刀……手に入れた?」


迷宮(ダンジョン)の最深部、って言った感じか?ギルドの仲間と共に取りに行ったんだが」


リベアが瞼を閉じ腕を組んで考える、そして瞼を開けその黒い瞳をレクトに向ける。


「当たっている……お前があの噂の宝刀使いか……?」


「宝刀使い、じゃ無いな、俺は少なくともただのコレクターだ」


「他にも疾風の刀カワセミも持っているのって」


「よくご存知で。いやぁ六属珠護龍のリベアさんに存在を知ってもらえているなんてな。てかお前さんよく六属珠護龍の全員と仲良く出来ているな?しかもあんな風にベタベタくっつかれちゃって〜」


レクトはその疾風の刀カワセミを出し、俺に質問する。


「まぁなんというか最初はメイデとリベアだけだったんだがどうしてかこんなふうになったんだよな……」


「ま、なんか知らねぇけど霊魂の廃墟っていうところに行かなきゃいけないみたいだしなぁ……まぁ俺も標的に入れられてしまってるみたいだから7時頃行けばいいんだろう?そんじゃ!!」


「すまんな、こんなことに巻き込んでしまって」


「いや、良いんだよ。首を突っ込まなかったら被害が出ていただろ?此処は完成された大人がいかねぇとな!!それに滅龍賊の異様な刀使いの噂も聞いていたところだ……。一目見ることも出来るだろうしな。まぁ思わぬ収穫だったがな」


異様な刀使い……アヴェルの事か。あの十刀流の……確かに異様だな。まぁその内の二本は魔法かなんかで動かしていたが。


「じゃあ俺は此処で……また霊魂の廃墟で会おうか」


そう言ってまた来た道を帰っていく。

午後7時か、現在の時刻は午後3時24分か。俺の世界じゃおやつの時間とか言ってたな……懐かしい。


「クレープ買うか?」


「え?良いの?」


「折角貰ったんだし、そもそもその為の金だった訳だし」


「じゃ、じゃあその言葉に甘えちゃいますよ?高いの買っちゃいますよ?」


本気で高いの買わせせたかったのかよ……。

余った分はちゃんと返さないとな。


「あぁ、好きにしてくれ」


「やったぁ!!」


とりあえずクレープ屋の前に来た。

あの騒ぎは一旦収まったみたいでなりよりだ。


「いらっしゃいませ!!」

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