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14.安全な隠れ場所

その映像を見る限りレイルが上下に刃物の様なものを付けた槍の様なものを振り回して賊の連中を斬って進んでいるのが分かる、殺しているのではなく気絶させているのだろう。

......メイデ達は何かを見て止まった。


「あ、そういえばアイツには知らせてなかったな」


「......それは、まずい」


まずいってどういう事だ?


「人質ならぬ龍質にできると思ったんだが」


龍質......?一体コイツらは何を考えてやがるんだ?元々よく分からい奴らではあったが。


「どういうことだ」


「ん?そういうことだよ、事前にお前の仲間には此処の場所を知らせている、そしてのこのことやってきたそいつらを俺らがパパッと捕らえて龍質にしようって魂胆だったんだが」


映像には1人の男が立っていた。


「宝珠を護る龍の、中で、最も、優れた腕力を持つ、破力の宝珠を、護る、剛龍、メテウス」


「アイツが拳を一振りするだけで掠ったとしても致命傷は免れない」


「その代わり、能力の関係上、1時間動くと、23時間、寝たきり状態、になる」


「おい、何ヒント与えてんだよ」


確かにヒントだな、1時間にも及ぶ長期戦には弱いと。


「私は、別に、アヴェルやメテウス、六属珠護龍、その他諸々は、どうなってもいいと、思っている、ただ、君とボス、には死なれたくない」


俺の方へメイリが、すぅっと滑ってくる、霊龍と言うだけはあるな。

そのまま近くに、そして右腕を突き出してきた。


「私には、実態がない、だから、君に、触ることだって、叶わない、任意で、消えることだって、できない」


「......」


コイツはコイツで不便なことはやはりあるんだな、その一つに人に触れない、って言うのがあるわけか。


「でも、もうすぐ、ボスが、私に実態を、くれる、だからボスに、従う」


「お、戦いが始まっちまったぞ」


「止めに、行かなきゃ」


流石に6対1じゃ数の差があるし普通に負けるだろ、そんなにすごい力を持ってたとしても。

そういえばもう不自然な感じは無くなったな、もう能力が使えるのか?試しに今、コイツらに見えないように背中を竜人化させてみてっと、おぉ、さっきまでは出来なかったのに出来るように、それじゃあさっさと抜け出してメテウスって奴を倒したいんだが。

それにかなりアヴェルは戦いに熱中している、これはチャンスなのか?でも完全に出口は鍵がかかっているだろうし。


「ねぇ、出たい?」


「!?」


メイリが小声で話しかけてきた。


「そりゃあ、まぁ」


俺も小声で返答する、返答するべきでは無かったのかもしれないが、アヴェルに気づかれない様、言っているのは俺に協力してくれようとしているのだろう。


「じゃあ、この部屋の鍵、それと二つ条件」


俺は唾を飲み込み首を頷かせる。


「一ついつか、デート、約束して?二つ......あっ」


「わかった」


俺はいち早く出たい為鍵をサッと持って音を立てずに歩き鍵を開けた。

カチャっと聞こえたがアヴェルには気づかれていない様だった、それほど戦いを観戦するのに夢中なのか。

メイリが小さく手を振る。

そういえば二つ目の条件聴きそびれたな、まぁ慌ててたし良いや、良くないけど、そういえばデートの約束まで付けられてしまったなぁ。

俺は音のする方へ走った。


「主!!」


「無事だったのか!?」


メイデと、リベアと、シルフィがこっちに走って来た、じゃあ後のイフとタニアさんと、レイルさんはメテウスと戦闘しているのか。


「無事だったのかって、それは僕達のセリフだ!!」


「シルフィ、とっても心配したんだよ!!急に人が変わった感じになって、追いかけていったら、急に......急に」


シルフィが泣きながら俺を強く抱きしめてきた。


「悪かった、メイリに操られていて、でも本当にごめん」


「そうか、やはりメイリが操っていたのか」


「もうこんなところに用は無いからさっさと出よう!!」


メイデ達が来た方向へ走る、とりあえずメテウスを倒さなければ、別に倒さなくても逃げ切れれば良いんだけど。


「はぁ、はぁ、吾輩の双刃槍をものともしないとは」


向かってくる俺たちに気づくレイル達、イフとタニアさんはもう動けない位、重傷を負っていた。

俺は図体のデカいメテウスの首元目掛けて竜人化させた脚で蹴飛ばす。

高い位置にありながらもそれは綺麗に決まる、そのままメテウスは勢い良く吹っ飛び壁に激突し、白目を剥いて倒れている。


「さっさと逃げよう!!」


「い、痛い......ごめんなさい、動けなさそうです」


「いったたた、私も動けそうに無いや」


「うぐっ吾輩も少々無理をしてしまった......」


担いでいる間は遅くなるからアヴェルにすぐ追いつかれてもうどうしようも無くなる、どうすれば......。


「僕なりに無幻の宝珠について調べてみたら分かった事があるんだ、まぁ全部じゃないんだけど」


「何が分かったんだ?」


「その効果って言うのが僕の常闇の宝珠の効果である次元の狭間に似たような効果なんだが、次元の狭間の効果は自身の固有空間に物を出し入れできる能力、に加え浄化もできるっていう効果なのだが、君の無幻の宝珠の効果はこの宝珠に登録した宝珠を護る龍に自分自身が入ることが出来る固有空間を与える効果だという、そしてその全ての固有空間は共有されているという、簡単に説明するとえーっと」


つまりは俺の世界で言うところの、マンション、みたいな感じなわけか、登録した宝珠を護る龍に部屋を与える効果なのか、そしてその部屋はマンションのように分かれてはいるけど廊下のようなもので繋がっていると。


「大体分かった、登録の仕方を教えてくれ」


「無幻の宝珠に触れば良いみたいだ、後はその空間から出るには登録した宝珠を護る龍の国の何処からでも出ることができるらしいんだ、バレない隠れ家として使える以外にはワンクッション挟む必要があるけどテレポートのような扱い方も出来るわけだな」


「よし分かった、とりあえず触ってくれ」


俺は無幻の宝珠を出す。


「やっぱりこの宝珠、何か不思議なものを感じる!!」


「それはこの効果とは関係ないのか?」


「うーん、分かったのはほんのわずかだから多分この不思議な感じって言うのは違うものだと思うけど」


メイデが最初に触りに来た、宝珠に触れた途端無幻の宝珠が白くなった。


「わわっ!!これで登録出来たのかな?」


「多分出来たはずだ、次は僕が」


次は黒くなる、属性に応じて変化するのか、とりあえず早く済まさないことには。



よし、全員登録出来た、さて、行き方なんだけど。


「確か、次元の狭間を出す感じで良かったような、あ、出た出た」


リベリが自分の大きさと同じくらいの黒い次元の狭間を創り出す。

メイデが創ると白、イフが創ると赤、因みに俺は灰色の様な色だった。

メイデがこの空間の中に入ってすぐに戻ってきた。


「凄い!!部屋になっている!!広い!!何も無いけど」


少し躊躇いながらも重傷を負ったレイルさんをおぶる。


「悪いな」


「いや、元々は俺の不注意のせいだし、俺が謝るべきだよ」


中は本当に何もなくただドアが一つあるだけだった。


「ありがとう......下ろしてくれ」


「じゃあ俺は少し見てくるかな」


どういう感じになっているのか気になって仕方が無い。


「あぁ」


俺はドアを開けた、そこにはシルフィがいた。


「此処が廊下で、この部屋がシルフィの部屋で、えぇっとこの部屋から君が出てきて、えぇっと」


「この部屋はレイルの部屋だ」


本当に繋がっているんだな、そして別の部屋からメイデとリベアが出てくる。


「此処でも一応次元の狭間は発動出来るんだな」


リベアがそう言って常闇の宝珠を取り出す、なるほど、此処からも一応出せる感じなのか。

まぁ、今はどうでも良いけどでも風呂とかはどうするんだって話だよな。

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