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13.賊と俺と六属珠護龍

寝れない。

何故だか全く眠れない、やはり目が冴えてしまっているんだろう。

ずっと布団の中にいればそりゃいつかは眠れると思うけどなんかそんな気分じゃないんだよな。メイデに至っては俺の位置を察知して、またしがみついて来たし、うーん、意外と鬱陶しいな。

俺は振り払うように腕を動かして別方向に寝転がる。


「来ちゃった」


「!?」


賊の仲間の宝珠を護る龍の1人のメイリが俺の横でなんの気配も出さず寝転がっていた。


「アヴェルが、今すぐ、呼んで来いって、うるさいから......来て?」


俺は横にゆっくりと首を振った、突然過ぎて心臓が爆発しそうなぐらい動いている。


「私も、君が欲しい」


俺は小刻みに首を横に振った。


「そう?じゃあ」



メイリがニヤリと不気味に笑ったその時、俺は布団の上ではなく椅子に座っていた、それも身動きが出来ないよう固定された。


「よぉ、少々手荒な真似をしちまったが許してくれ」


目の前にはメイリとアヴェルが座っていた。


「何をした......?」


なんだ?この変な、違和感だらけの体は、いや、見たところ体の表面は変わっていないのだが。


「さぁ?メイリだけが知っているんじゃぁ無いのか?」


「私以外の、女は、好きになれない、呪いを、かけた」


「そりゃあ中々厳しい呪いを」


そもそもそういう好きとか言う感情はきっと無いんだよな、俺。まぁ本当にその呪いがかかった振りをしておくかな……。

この違和感はまずその呪いの影響じゃない、もっと他の何かだ。


「嘘」


「紛らわしいなオイ……」


「アヴェルは、黙って」


「へいへーい」


「こほん、君の、体で、遊ばせて、もらった」


は、はぁ......霊龍と言う位だから憑依とか出来るんだろうけど。


「目的は俺だけのハズだ、メイデ達には手を出してないだろうな?」


「さぁ?どのみち君は、私達の仲間に、なるわけだし」


身動きがとれなきゃどうしようもない。それに能力である竜人化すら出来なくなっている。


「そうそう、シルフィが、私の、存在に、気づいて、ちょっとした、戦闘になったっけ?」


「んで勝敗はどっちだったんだ?」


アヴェルが口を挟む、かなり興味があるようで。


「勿論私と君の愛の勝利......愛?愛......ふふ、いい響き」


その過程で俺は何発かダメージを受けて、さらにシルフィの能力の能力封じまで発動してしまったと。


「くそ……」


「そう怒らないで?そうだ、ご飯食べる?私の手料理」


アヴェルがゆっくりと首を横に振る動作を確認してしまった。恐らくとてつもないゲテモノを作る気なんだろう。


「いや、いらない、それよりも此処から出してくれ」


なんか敵に救われた気分だ、それよりも今何時位なんだ?異常に腹が空いているんだが。


「どうする?」


「あ?どーせ抵抗出来ないだろうし、こちらはお前に対しては敵意が無いことも理解して欲しいしな」


「わかった」


ゆっくりと近づいて来る、不自然な笑を浮かべながら。


「じゃあ、外して、あげるから、メイリ、好きだ、愛している、って言って」


恐らくこの手錠の鍵だと思われるものを人差し指でぐるぐる回しながら言っている。なんで好きでもないやつに告白しにゃなんないんだよ。

でもそれしか無いんだったら。


「メイリースキダーアイシテルー」


「!?......じゃあ、両思いね……私も、好き」


今ので良いのかよ!?明らかに反抗的な言い方だったぞ!?好きだなんて1mmも感じられない言い方だったぞ!?


「えへへ......」


「んで、いつ外してくれるんだ」


「あ、ごめん、私ったら、つい」


本気にしているのか?だとしたら、そうとうヤバイ奴だなこれは、まぁ薄々気づいてはいたんだけど。


「......んで、俺に何の用だ」


素の人間に一時的に戻った今、戦闘を行えば負けるのは確実だし、そもそも二体一だと部が悪い、なるべく刺激をしないように。


「私と、デートを......あうっ」


「お前さんには我々のギルド、滅龍賊に入ってもらう」


メイリを退かして本題に入る。


「断る」


どういう事だ......?

アヴェルは指をパチッっと鳴らした。


「これはこのギルドの内部の映像を見ることが出来る魔法の一種だ」


そこにはメイデ達、六属珠護龍が廊下を走っている映像が流れる、俺を助けに来たのか?本当にすまない......危険な目に合わせてしまって。


「俺なら奴らの時を止めて皆殺しだって可能だが?それに今度はあんな不意打ちは喰らわない。覚えておくことだ」


「......」

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