10.土の国の宿
俺達はタニアさんに案内されながら歩く。
タニアさんのその堂々とした後ろ姿は何故かカッコよく感じられた、俺達をあの意味の無い竜人非難から救ってくれたから?と考えつつ竜人化を解く。
「昔ね、この国を守っていた私の護衛みたいな竜人達が居たんだ」
「タニア防衛隊だっけ?」
「そう、まぁ非公式だし護ってくれるんなら勝手にどうぞって思ってたんだけどいつの日かその行動が怪しくなってね」
急に立ち止まった、タニアさんの指が指した先には旅館、龍の瞳と看板に書かれた立派な旅館が立っていた。
「此処が私のオススメの宿!!ま、私の経営する旅館なんだけどね」
自分が経営する旅館か、そしてそれをオススメとして紹介してくると、まぁここ以外じゃもう俺は半竜人だって知れ渡ってしまっているだろうから入らせては貰えないだろうし。
「あ、ありがとうございます!!」
「助かったぁ!!さっすがタニア!!」
「友達の危機とあらば自分に出来る事を探して実行しただけ、そういえば君はさっき見た時一部しか竜人の姿になっていなかったように見えたんだけど全身もできたんだね!!驚きだよ」
あれはなんか急になったっていうか、まぁよくわからないんだけど後々わかって行ければいいんじゃないのかな、何時までも分かんないじゃ良くないけど。
「そういえばリベアが抱きついていたらいつの間にかなってたよね?」
「やはり僕の竜人に対する想いが君を動かしたのか!!」
「それは無い、そもそも俺は人間なわけだしさ」
俺は案内されるまま宿の中に入る、続いてメイデ達が入る。
「誰もいない?」
「まぁ土の国はあの山以外あまり見ものがないから冒険者達もあまり来ないしね、都市部っていってもこんなもんなんだよね、でも他の場所とは違って珍しい魔物が数多く生息するからそれを見に来る人は多いかも」
「なるほど」
内装も無駄に飾らず、まぁ和風というかなんというか、俺は飾りが沢山あるようなものよりこっちの方が断然に良いな。
俺達は案内されるまま階段を上がって二階へ。
「じゃあこの部屋で待っててね、今料理を運んでくるから!!」
タニアさんが歩いてこの部屋から出る。
この部屋には木製の長机と椅子が用意されていた、椅子は7脚用意されていた。
「吾輩はただ空腹を満たせれば良いのだが!!」
「そう固いこと言わないでーみんなで食べましょうよ!!」
扉の奥からタニアさんともう一人の声が聞こえてくる、吾輩という一人称からして恐らく。
「レイル!!どうして此処に?」
「い、いや、空腹が突然襲ってきたというか、まぁそういうことで来ていたわけなんだが突然連れてこられて、まぁただただ驚いたな、まさか此処に来ていたなんて」
そのままタニアさんはもう1度戻る。
「無幻の宝珠についてなにかわかったか?」
椅子に座り俺の方を見て言う。
「いや、特には」
「そ、そういえばその無幻の宝珠を出している時、不思議な感じになりましたよね!!」
「俺は全くわからなかったけど」
「ほぉ、後に知っていけたらまぁいいだろう」
階段を上る音が聞こえ扉が開く。
「持ってきたよ!!昼ご飯!!」
大きいお盆の上には和風料理がズラリと並んでいた、刺身、焼き魚、漬物に白米、その他もろもろ。
そのセットが7つづつ置かれていく、そういえばここに居る全員で丁度7人なのか。
「美味しそう〜!!これタニアが作ったの!?」
「えぇもちろん!!」
「まぁ結構これが美味いんだ、吾輩の国が崩壊する前はよく食べに来てたな」
そういえば魔道式の空腹を満たすカプセルみたいなのがあったけど、ちゃんと料理は出すんだな、まぁ安心というかなんというか。




