1.俺と宝珠を護る龍
ある日俺は突如としてこの世を去ることになってしまった、事故死。思いっきり突っ込んできた車体を避けろっ。て言われたって普通に無理で17才でこの世を去ることに。
自転車で二人乗りをしているカップルが気にしずに通っていくのが見えた。こんなのでもし未練が残ったのなら……。
気づいた頃には真っ白の空間に居た。
「うーん、結構災難だったね〜。まだ長く生きれたハズなのにね〜」
「まぁ、はい」
目の前にいる人はこの世界の女神様。死んだ人を再修復させて、別の世界。まぁ異世界でやり直しをさせるかどうか決めている人だ。また転移特典として異世界の慣れない暮らしが少しでも楽になるように何かしらくれる存在でもある。らしいのだが、誰もが知っているであろう大手企業の携帯型ゲーム機をずっとやっていて簡易的な説明ばっかりだ。そして今、女神もゲームをするんだな。と要らない知識を得た。
「そうねぇ、君、かなり龍に懐かれやすいみたいだし」
パタッと携帯型ゲーム機を閉じ少しニヤリと笑う女神様。
龍に懐かれやすいってどういうことだ?
「2匹の龍の主にでもなってもらおうかな?」
2匹の龍の主?生き物を転移特典にするって恐ろしいな。これでも俺は金魚を二日足らずで亡き者にしたことのある飼育苦手人だ。二が重すぎる。
それでも口にしない限り話は進んでいく。
「1匹はこの世界の光属性を生み出した白い聖龍メイデ、もう1匹はこの世界の闇属性を生み出した黒い邪龍リベア、どちらもこの世界には必要不可欠な龍ね」
龍に好かれやすい体質だからってここまでやるのか。そもそも龍に懐かれやすいってどういうことなんだって。
「君みたいな少し変わったよく分からない人なら龍も喜んで力を貸してくれると思うし!!君も力を貸してあげるんだよ?そうそう、能力も龍に関係するものにしておいたから。ま、身体の一部を竜人のものにするっていうだけだけど。まぁちょっと不安定なところはあるんだけど……それじゃもう龍達は君の初期転移地点の方へ移動させておいたから。流石に生きてる者をここに呼ぶのは良くないしね、じゃあ異世界転移開始するね」
その合図と共に俺は少し宙に浮いた、少し間が空いてから光の粒が俺に纏だし目の前が暗転した。
「えぇっと、此処が異世界で……その龍って言うのは……?」
少し周りを見渡す。するとすぐに後ろから声が聞こえた。
「あなたが私達の主?」
龍では無く人の声が聞こえてくる。
「そうだろう、あの女神様が言ってたんだ、きっと女神様の方で紹介されているだろうけど僕は邪龍のリベア、そんでこっちの巨乳の白髪は」
「聖龍のメイデって言います!!」
「あ、ど、どうも」
龍の姿をしているものかと思ってたばっかりだったし意外だったし。
「俺は……」
前世の名前……思い出せないな……なんて呼ばれたっけ?記憶の大半欠けているのか?うぅん。無理だ思い出せない。
「どうかしたの?急に黙り込んじゃって」
親の事も友達の事も名前も記憶から切り離されてやがる。思い出そうとするたびその全てにモザイクがかかったかのような……。
「ご、ごめん、名前思い出せない」
「無理に出す必要は無いさ、また心機一転新しい名前を考えればいい話じゃないか」
最後の車によって死亡した事と年齢だけは覚えている、それ以外はもうさっぱりで......思い出せるには出せるような気もするけど。
それに新しい名前か、急に考えて。と言われてもなんかなぁ。
「じっくりゆっくりのんびりまったり!!」
「それもそうだなぁ」
っということよりもなんで人の状態なのかが知りたい。
「そういえば君達は龍なんだよね......?」
「そうだが?」
「うん!!」
「じゃあなんで人の状態になっていられるんだ?」
「それはなんというのだろうか?」
「うーん、宝珠を護る龍だからかなぁ?」
宝珠?なんじゃそりゃ?聞いてないぞ……。
「不思議そうな顔をしているね。うんわかった、簡単に教えるよ」
解説あざっす!!
「はるか昔から今にかけて宝珠を護る龍がいてね、まぁその先祖の血を引き継いでいる僕達は人の姿へ変身できるってわけ、その代わりずっと宝珠を狙う私達龍と敵対している人達から宝珠を守り抜かないといけなくってね」
「私の護る宝珠は閃光の宝珠!!」
「まぁ宝珠は僕達含む何匹もの龍が護っていたんだけどその内の2つがもう賊によって奪われちゃってね......」
なるほどね、宝珠を死ぬまで護らないといけないけどその代わり人に変身できる力を持っているっと。
そして今賊によって2つ失ったってわけか。
「宝珠が無くなるとヤバい事ってあるのか?」
「......国が滅ぶんだ」
国が滅ぶ......?
「護る龍の近くに宝珠が無い日が一週間以上続くと私の場合、光の王国が滅んじゃうの」
なるほど、だから護らないといけないっていうわけなのか、そしてもう2つの国が滅んでいるっていうわけなのか。
「つまりその賊から宝珠を護っていけばいいってことか、俺に出来ることがあるならなんでも力を貸すよ」
「本当!?助かるよ!!」
なんで俺に2つの国の運命を背負うことになったのかよくわからないけどまぁ常に狙われる存在になったってことだよな......?楽にするところか重くしやがって。
「流石!!でも族は強い上に数で仕掛けてくるし二匹じゃ差がどうしても生まれてしまうんですよ......」
強い上に数が多いのか、めんどくさそうな敵だな。
「能力を発揮してみてくださいっ!!」
「能力を?やってみるか」
確か身体の一部を竜人のものにするんだっけ?どう発動させればいいかわからないけど少し右腕に力を入れてみてっと。
「おぉ、変形したな!!」
「凄い!!」
右腕全体が硬い鱗で纏われて少し重くなった気がする、なるほど、力を入れると変わるってことか。
そんじゃ左足に力を入れてみてっと。
「左足が変形しました!!」
右腕の変形は戻ってしまうけどこうやって切り替えができるんだな。
「結構頼もしい能力だ、少し触らせてもらってもいいか?」
「うん、別に良いけど」
人差し指で右足をつついてくる。
「ほぉ、次また右腕を変形させてくれないか?」
「わかった」
言われたままに右腕を変形させる。
「凄い凛々しい......!!鱗のツヤと言い硬さと言い文句の付け所が見当たらない!!舐めてもいいか!?あーん」
「それはちょっと......」
「リベアは竜人フェチだから」
「フェチではない!!愛好家だ!!まぁ僕にも好き嫌いはあるが」
自分自身が龍なのに。
「ありがとう、気が向いたら舐めさせてくれ」
多分その日は一生来ないだろう。
「この匂い......賊が来た!!」
「早くねぇか!?」
「少し戦ってみようか……保護されている間ずっと賊に勝つため特訓していたからな……」
「そうだね!!今日から仲間が増えたことだし!!」
戦うったって相手は殺しに来ているはずだしこちらも殺す気でいいってわけだよな……?
リベアとメイデが龍の姿に戻る、リベアは邪龍というだけあって黒く禍々しい、メイデは聖龍というだけあって白く神々しい、しかも両者共にかなり大きい、リベアは更に。
「今回は……なんとかなりそうだ」
「よし、じゃぁやってみるか」
「補足すると人は殺しても残機がある限り、リスポーン地点にて蘇ることが出来るから殺して良い。でも残機が1の敵がいた場合それは犯罪となるから出来るだけ殺さないよう立ち回ってくれ」
確かに数は多いけどなんとなく戦えそうだ、とりあえず俺はまた右腕に力を入れる、変形したところで俺に向かって賊の大半が押し寄せてきた、殺す気でいるのだろう、まぁ俺は殺しはしないけど......。
それに車体はよけれなかったけど動体視力はいいほうでね!!
俺は賊の攻撃を避け、右手に特に力を入れ向かってくる賊の一人を殴る、すると驚く程よく飛び後ろにいる賊に追撃を与えれた。
「これすげぇ破壊力だな」