表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
学校戦線  作者: seto
1/5

開始 -Start-

 日本の某地区にある「志波シナミ中学校」、僕はここに通っている。否、通っていたというべきか。

 どこにでもあるような普通の学校であった。一つ違うとすれば、『全校生徒数70名』『クラス数2』『全員が疎開児童』といったことだろうか。

 もちろん学校と生活施設は別々にある。


 しかし、この学校は一日にして豹変する…




 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




 僕の名前は「渡戸ワタリド 五傳木イツキ」この志波中学校の二年生である。といってもこの中学校にはクラスが2つしかない、なので全員二年生である。


「よぉ五傳木!」

「おはよう凌空。」


 毎朝僕に元気に挨拶してくる男子生徒のこいつは「秋羽アキバ 凌空リク」僕の親友でもある。

 僕よりも背が高く、運動もできて成績も優秀だ。


「今日は朝から朝礼だってよ~面倒だよなぁ~」

「まぁ、でも滅多にあることじゃないから」


 こうしていつも通り生活施設から学校に登校する僕たち、この朝が二度と来ないとも知らずに…



 荷物を置いた僕たちは体育館へと集合する、"朝礼"があるからだ。僕と凌空は同じ部活だがクラスが違うので座る場所も違う。


「え~、皆さん揃いましたね。それでは朝礼を始めたいと思います」


 ある程度年の老いた女性が教卓の前に立って話し始める、この人こそこの学校の校長である「竜沢リュウザワ 智代トモヨ」先生である。


「今回は重要なお話があります。今から皆さんにはゲームをしてもらいます。」


 生徒たちがざわつく。そりゃあ、朝礼での話の中に"ゲームをする"という言葉が出たのだ不自然がってざわつくのも無理は無いだろう。

 しかし、問題はここからだ。


「あなた方にはこれから殺しあってもらいます、最後に生き残ったチームだけが解放されます。」


 誰も理解ができない、学校に来て早々に「殺しあえ」と言われたのだから。

 そう言えば、もっと不自然な点がある。体育館には校長と僕たち以外に用務員のおじさん三人しかいないのだ。


 一人の男子生徒が手を挙げる。


「先生!それはどういうことですか!なぜ殺しあわなくてはならないのですか!」


 竜沢は依然として落ち着いた態度で話す。


「それは後にわかります、ゲームが進めば。」


 そう言うと、校長が教壇から降りてきて小冊子のようなものを生徒に配り始める。


「これはルールブックです、詳しくはここに書かれているので困ったら読んでください。」


 竜沢はそっとスーツの内ポケットに手を入れると、そこからあるものを出した。

 黒光りしており、L字型で手のひらサイズの物体。


 拳銃である。


 僕には竜沢の内ポケットから拳銃が取り出されるまでのワンカットが何秒、何十秒と長く感じた。

 あまりにも予想外の展開に脳が追いついていないのだ。


「運動会のように、このピストルでスタートです」


 そう一言呟くとともに、竜沢はその拳銃の銃口を自分のこめかみにあてた。


「Start」


 瞬間、体育館中に銃声が響き、しばらく余韻が残った。数秒の間生徒たちは静まっていたが、次第に悲鳴などが聞こえてくる。そして我先にと体育館から飛び出していく。


「五傳木!」


 凌空も人の波をかいくぐって僕の元へと走ってくる。


「どういうことだこれ!何が何だかさっぱりだよ!」

「僕も理解ができない、とりあえず整理させてくれ。」


 凌空はそんなことを言っている場合じゃないと言わんばかりに僕に話しかけていたが、僕は現状の理解に夢中だった。

 そんな中ふとルールブックが目につく、僕はすぐさまそれを開いた。凌空も続けて開く。


「1ページ目には…」


 開いてすぐにはゲームの準備とルールが書かれていた。


1.チームを組み、そのチームごとに行動する。

2.チームは部活動ごととする。

3.ルールに従わなかった場合、近くの用務員が罰する。

4.帰宅部はチーム編成自由とする。

5.チームは5名で1チームとする。


 ルールブックを読んでいる最中に体育館に悲鳴が轟く、読むのを止め悲鳴のほうを向く。


「いてぇよぉぉおおお!!」


 隣のクラスの男子が用務員に切り刻まれていた。


「だ、だれかぁぁああ!!助け…て…」


 しかし、誰も助けない。男子は青ざめて動かず、女子は吐きそうなのか口に手を当てて膝を地面についている。


「あいつ…さっきチームを組もうとせず、用務員に刃向かったんだよ…」


 後ろから声がして振り返ると、そこには同じクラスの男子がいた。

 眼鏡をかけ、僕と同じくらいの身長。部活も同じ卓球部の「畠山ハタケヤマ スグル」である。


「これがルール3…」


 自分でも驚くほどに僕は落ち着いていた、それは周りに飲まれちゃいけないという考えからか。冷静に分析するという本能からか、それは僕にもわからない。

 しかし、今すべきことはわかっている。


「メンバーを探さないとな…」


 先ほどの人ごみに僕達の部活の生徒も流されたらしく、今いる卓球部は僕と凌空と偉の3名のみである。


「二人を探さなきゃな…」


 この学校では部活人数に極端な制限がある。

 部活は

「サッカー部」

「野球部」

「テニス部」

「バレー部」

「卓球部」

「柔道部」

「美術部」

「演劇部」

 とこの8種類あり、どの部活も部員は5名までである。つまり、その中に入れなかった人は全員帰宅部だ。


「確定チーム40人と編成自由チーム30人か…」


 偉が分析し始める。


「なぁ、この6ってどういうことだ?」


 先ほどは5までしか読めてなく、その先を読みそこなったが…どうやらルールブックに載っているルールは全部で6までのようだ。


「これは…」


 そこに書かれていたことはこうだ


6.ここに掲載されているルール以外は自己探索とする。


「ルールを自分で探せってことか…?」

「どういうことだ…」


 俺と偉が考えている中、凌空が立ち上がり話を持ち出す。


「ここで考えていても難だ、残りのメンバーを探しに行こうぜ!」


 どこからその元気は湧いてくるのか、といいたいところだが凌空の言うことにも一理ある。


「そうだな…じっとしていても現状は変わらないからね」


 偉も立ち上がる


「仕方ない、危険だが探すとしよう」


 そして僕も立ち上がる…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ