インターバルwithなごみさん
もしかして、ジャンル間違えてる?
「………………………。」
「あの、大丈夫?小森君」
1時間目開始前、そこには全身叩いたのに未だ砂が付いている僕、小森一真とそれを心配するクラス委員長、設楽和美さん、通称なごみさんがいた。
結局のところ、僕の無遅刻無欠席という目標は無事守られた。着地時に気を失った僕は、
「おーい、もしもーし。起きろ―」
パンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパン。
めっちゃ叩かれて起こされた。おかげでまだ頬のあたりが少しはれてる。
「おいもう起きたから叩くのやめろっておい!」
パンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパン。
「やめろって!!」
「ちぇ、ちょっと楽しかったのに。……後一発、いい?」
「よくねえよ!!」
色々込めて突っ込む僕。同時にちょっと残念そうにするギギ。
「……まあ、間に合ったことに関しては感謝するよ。色々文句言いたいけど」
「どういたしまして。こっちも結構楽しかったよ。それより急いだら?」
「確かにな。ありがとな」
僕はギギに軽く礼を言いながら校舎へ向かう。
「君なんか聞きたいことがありそうだから、放課後待ってるよー!!」
ギギが校舎に向けて走る僕へそう言った。ふと振り返るとそこにはもうギギの姿はなかった。
「小森君?」
「あっ、ごめんなごみさん、聞いてなかった」
「人の話はちゃんと聞いてよ?あと、私の名前は和美です。なごみじゃありません」
委員長はちゃんと本名で呼ばれたいらしいけど、和美という名前が「なごみ」と読めることと委員長自身が出している場の空気が和みそうな雰囲気から、なごみというあだ名が定着している。当人は不本意らしいのだが。
「小森君、さっきすごい登校したでしょ?それで怪我とかしてない?」
「うん、大丈夫。まだ砂が付いてるけど、これといった怪我はないよ」
「よかった~。それで、何であんなことになったのかな~?」
なごみさんがさっきのことを質問してきた。当然と言えば当然だけど。
「……今から今朝起きたことをありのまま話すよ?」
「いいよ~」
「横断歩道で後ろから押されてトラックに轢かれそうになってお姫様だっこされて知らない公園まで連れていかれて遅刻しそうになって抱えられて屋根の上を通って校庭に着地した」
「?」
なごみさんはよく分からないといった顔をしていた。当然かもしれない。僕自身意味が分からない。
「『な、何を言っているのかわからねーと思うが』が抜けてるぞ、一真」
「大悟」
なごみさんと話している最中、後ろから声が掛かってきた。
僕の友達の倉科大悟だ。
「今朝のことは俺も気になるけど、そろそろ授業が始まるから切り上げよーぜお二人さん」
大悟に指摘され時計を見てみる。確かにもうそろそろ授業が始まる時間だ。
「ホントだ。それじゃまたあとでね、小森君」
「その時は俺も混ぜろよ、お二人さん」
そう言って、二人はそれぞれの席に戻っていった。