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プロローグ
その日は、とても平凡な始まりだった。
いつものように高校に通って、いつもの日常が送られると、その時が来るまで信じていた。
通学路途中、赤信号の横断歩道、一番前にいた僕は、後ろでふざけ合っていた男子高校生達に押され道路に押し出された。
その瞬間、トラックが迫ってくるのが見えた。
ああ、これは死んだなと我ながら淡々とした感想だった。
死が目前に迫っているというのに、走馬灯なんかは全く浮かばず、ただただ自分の人生が終わるのだと実感した。
生に執着がない訳じゃない。ただ、どうしようもないというだけの話。
マンガとかラノベだと、こんな感じで死んだら転生する話とかはよく聞くけれど、そんなに世界は都合よくできてはいない。
まあ、もしそんなことがあるならと、軽く諦めたかのように来世に期待し、
僕は来るべき運命に身を任せることにした。