さゆりの100円
休み時間、としかが自販機へ向かった。
としか:あっ、100円が無ぇ。ジュース買えんな。
としかは諦めて教室へ帰ろうとした。だが、二階から声がした。
さゆり:としー、100円あげるー。
としか:えっ?
さゆり:金無ぇんだろー?ほれ落とすからー。
としか:おっと。
さゆりが金をくれたのだ。としかは、その金で飲み物を買った。
しゅう:へー、いい人だな。
あおと:姉弟愛ってやつか。
としか:愛って、気持ち悪いわっ。あっ、これは?
としかがポケットに手を入れたら、500円玉が出てきた。
あおと:お前、金あるんじゃん。
としか:いっけねー、忘れてた。
しゅう:よかったじゃん、得したな。
放課後、先ほどの金でお菓子を買うことにした。
あおと:としかがお菓子 買ってくれるってさ。
しゅう:ありがてぇ。
としか:バカ、自分らで買え。
学校の近くに小さな店があり、学校帰りの学生がよく来る。
としか:500円分 買っちゃおうかな?これと、これとー
しゅう:すげー買うじゃん。
としか:これでちょうど500円だな。
あおと:オレにも分けろよなー?
としか:イヤだねー。
3人がそれぞれ見回っていると、2年の女子たちがやって来た。
さゆり:あ、としか。
としか:おう。
さゆり:あんた金ないんじゃなかったの?
としか:あっ、それなんだけど、さっきポケットの中にあった。入れてたの忘れててさ。
さゆり:何だよっ、私があげた100円何だったの?
としか:いや、悪ぃな。じゃあ先に買って帰るー
さゆり:ちょっと待て、100円返して。
としか:やっぱそうなるか。
仕方なく、400円分のお菓子を買った。
としか:あー、あいつが来る前にすぐ帰ればよかったな。
しゅう:ま、それでも家で100円分のお菓子 取られそうだけどな。
あおと:油断したね。