初詣
りーさんリクエストの皆と初詣です。
楓ちゃん目線です。
5'…4'…3'…2'…1'ハッピーニューイヤー!
私と柊君はテレビのカウントダウンを一緒にした。
さっきからずっと私を背後から抱き締めている柊君は私の首筋にキスをして言った。
「ベッド行くか?」
「嫌です。帰ります。」
身の危険を感じて柊君の腕から逃げようとしたが、逃げられる気配が微塵もない。
「楓。」
柊君は甘い声で耳をくすぐる。
「駄目か?」
「………駄目だよ。」
柊君はゆっくり私を自分の方にむけてキスをした。
「駄目か?」
どうしてこの人はフェロモン駄々もれで迫ってくるのだろう?
「駄目。駄目駄目駄目駄目!マリナちゃん達と初詣行く約束してるから!着付けしないと。」
フリーズする柊君の腕が緩んだところをすかさず逃げる。
「ひぃ様も着替えておいてね。」
私はそれだけ言うと柊君の家から出ていった。
着付けをおえて家から出ると柊君の家にむかう。
呼鈴を押してドアが開くのを待つ。
着付けの仕方をマリーさんに叩き込まれた時の事を思い出して待っていると柊君がドアを開けてくれた。
「あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。」
玄関を上がると三つ指をついて新年の挨拶をすると柊君に抱き締められた。
「そのまま嫁に来い。」
「ちょっと!ちゃんと新年の挨拶して!」
「初詣止めてベッド行こう!」
「叩くよ?」
そんなことをしていたら柊君の家の呼鈴が鳴った。
私が玄関のドアを開けるとそこにいたのは美鈴様の彼氏の影森さんが立っていた。
「楓様、一条様、あけましておめでとうございます。お迎えに上がりました。美鈴様がお待ちです。」
「すみません!むかえに来てもらっちゃって!」
「いいえ。美鈴様にお喜びいただけるなら何でもして差し上げたいと言う私の我が儘ですので、おきになさらないで下さい。」
影森さんは凄い忠誠心だ。
「あの、前から聞きたかったんですが………美鈴様と二人っきりでもそのしゃべり方なんですか?」
私の言葉に影森さんは爽やかな笑顔を私にむけた。
「一条様、女性とは時に敬語の言葉攻めに萌えて下さるものですので、楓様には実地で教えて差し上げるとよろしいかと。」
「影森さん、あんたが突然好きになったよ。」
なんだか余計な事を口走り、余計な展開になったかも。
神社につくと全員が揃っていた。
「あけましておめでとうございます!遅くなってごめんなさい。」
「数井!空気読めよお前!」
柊君はマリナちゃんに文句が言いたくて仕方ないらしい。
「一条会長が暴走しないようにじゃん!」
「大きなお世話だ!」
「まあまあ!ほら、早く行こう?」
私は柊君の腕にしがみついた。
私が柊君の腕にしがみつくのは、私の居場所のようで嬉しいからだ。
それから、皆の方を見た。
女子メンバーは皆着物姿である。
「一条は年明けても欲望むき出しだね。」
「春人君は黙ってて。」
「かなさんが可愛いのが悪い。」
「黙る。」
奏ちゃん達はもうすでに何かあったらしい。
忍は八尾君と手を繋いでいて真っ赤だし。
マリナちゃんは二階堂君を引っ張って屋台の甘酒を買わせようとしている。
美鈴様は影森さんを見上げて微笑んでいる。
「あれ?京矢君達は?」
「京君はスミレちゃんと近くの神社に行くんだって!終った後にファミレスで受験勉強するから良いんだって。」
青春!
「ひぃ様も見習って。」
「嫌だ。」
こうして私達の一年が始まった。
帰りは歩きますと言って、柊君とならんで歩いた。
「楓寒くないか?」
「大丈夫だよ。」
柊君にくっついて歩く道が幸せだな~。
「楓は幸せそうな顔してるな。」
「わかっちゃった?」
「わかるよ。可愛い顔してる。」
て、照れちゃうよ。
「楓が幸せなら俺も幸せだ。」
そう言って柊君は私の頭を撫でた。
幸せだよ。
私は柊君にぎゅっと抱きついた。
「ひぃ様、早く帰ってイチャイチャしよう。」
柊君は本当に驚いた顔をした。
「嫌なら、家帰って寝るけど………」
「着物脱がして良いって事?」
「………」
「早く帰るぞ。楓!お姫様だっこして走っていい?」
「駄目!」
柊君は嬉しそうに笑って見せた。
私は柊のその顔が好きだ。
年始めに幸せな気持ちになった初詣の出来事だった。
なんか、楓ちゃんと柊君の話になっちゃいました。
ごめんなさい。
柊君も可哀想なままではないですよ!
何となく、家についたら浩ちゃんが居てムリそうな予感がしますけどね。




