"メール"一条柊目線
父親に認められてるからの出来事ですかね?
楓の通う学校に来てムカつかないのは初めてだと思う。
「一条、書類はこれで終わり?」
七宮が俺の持ってきた書類に目をとうしている間に六木が俺に紅茶を淹れてくれた。
「幸せオーラ全開ですね!」
「六木には色々と楓にアドバイスしてくれたみたいで、ありがとうな。七宮落とすのは手伝うから。」
「ありがとうございます。」
七宮がかなり動揺して言う。
「俺の目の前でそう言う話しないでくれないかな?」
「「そう言う作戦です。」」
俺と六木がハモって言うと七宮は机に突っ伏した。
「春人君失恋を癒すのは新しい恋だよ。」
なぜか生徒会男子メンバー全員がビクリと肩を震わせた。
「………良かったな。」
思わず呟くと男子メンバーに睨まれた。
その時俺のポケットに入っていた携帯がなった。
「マナーモードにしてなかった。悪い。」
俺は携帯を出すと紅茶を片手に今来たメールを開いた。
そして、メールの内容に紅茶を霧状に吹いてしまった。
「汚い!」
「な、七宮悪い!いや、悪い電話してくる。」
俺は携帯を片手に生徒会室のはじっこに、うずくまるように座り電話をかけた。
「………浩ちゃん?今、日本?ダメだろこのメール。俺は良いよ俺は!って俺がこんなメールもらったって知ったら俺まで共犯扱いされちゃうだろ。勘弁してくれよ!」
『……でも大事な事だろ?俺は楓に後悔して欲しくないんだよ。共犯にはならないんじゃないかな?楓にも一斉送信したから。』
「バカ!浩ちゃんのバカ!楓にこんなメールしたらぜって~キレられる。楓はキレたら浩ちゃんそっくりなんだからな!俺が楓を極力怒らせないようにしてんのに浩ちゃんにこんな爆弾投げられるとか何?俺と別れれば良いと思ってんの?」
『そんなに駄目だった?楓が見ないうちに消す?』
「楓が浩ちゃんのメールを開かない訳がないだろ!俺のメールはガン無視しても浩ちゃんのメールはマッハで見るに決まってんだろ!今すぐ違う人に送るはずだったメールを間違えて送っちゃった!テヘペロって送ってくれ!たのむから!」
その時、生徒会室のドアが勢いよく開かれた。
ノック無しのせいで生徒会室の全員がビクリと肩を震わせた。
「ははは、やっぱりね!電話繋がんないと思ったんだよ…」
楓はかなりの笑顔を俺に向けている。
「ヤバイ浩ちゃん。楓が殺人スマイルだ。」
「ひぃ様………代わって。」
「はい。」
俺が携帯を楓に渡すと楓はさらに笑顔を強くした。
ハッキリ言って恐い。
「浩ちゃん?どう言うつもりでこのメールを送ったのか私が理解できるように説明してくれる?」
暫くの沈黙の後に楓はゆっくりと言った。
「なら、浩ちゃんは私がひぃ様とそう言う事をしてても良いってそう言う事?」
俺は取り合えず楓から視線を外した。
生徒会メンバーがキョトン顔で楓を見ている。
「浩ちゃん………お父さんにそんなこと言われた娘の気持ちは考えない訳ね。理解しました。では、避妊さえすればそう言う事して良いのね!浩ちゃんのバカ!当分帰ってくんな!」
勢いよく携帯を切ると楓は俺に携帯を手渡した。
「楓さん。それは前向きに考えてグェ………」
楓に脇腹をグーパンチられた。
「ごめんなさい。調子にのりました。」
脇腹を押さえて言うと楓は俺を睨んだ。
「俺に文句言われても浩ちゃんが勝手に送って来たメールまで俺は対処できません。」
楓はゆっくりと俺から離れると六木に抱き付いた。
「奏ちゃん聞いてよ!浩ちゃんが~…」
「さっきのカエちゃんの言葉で何となく推測すると、お父さんからヤる時は避妊しろって言われたの?」
六木は本当にハッキリ言うやつだ。
六木の言葉に男子メンバーが絶句する。
「普通送んないよね!」
「普通は送んないね。でも、浩樹さんは出来ちゃった結婚で失敗してるから仕方ないんじゃない?」
「理解出来ても理解したくない!ムカつくよ~。」
「よしよし、なら一条会長にカエちゃんが良しとするまで手を出さないって約束してもらえば?」
楓はゆっくりと俺の方を見た。
「そんな約束できません!」
力をこめて言ったらまた脇腹を殴られた。
「…いや…マジで………」
「奏ちゃ~ん!」
「一条会長、嘘でも約束してくれないと。」
「俺が何年我慢してると思ってんだ。」
「何年も我慢できたんだから後少しぐらい待てるでしょ?」
なんとも理不尽な話だ。
お付き合いすることになっても、楓は一筋縄ではいかないのだと改めて痛感した出来事だった。
楓ちゃんが可哀想だ。




