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"ヘタレと勇者"一条柊目線

楓ちゃん悩み中。

生徒会室のドアをノックする音に顔を上げると、入ってきたのは七宮だった。

「お前のせいで楓が挙動不審なんなだが?」

「それにかんしては本当に俺のせいなのか疑問だね。」

何でだよ!

お前のせいだろ?

お前が楓に告ったりするから!

イライラするのを我慢して七宮の持ってきた書類を受け取る。

「今朝話した時は俺の事で悩んでる風ではなかったよ。一条何か言った?お付き合いすると触るがどうとか?」

「………」

話した。

そんな話した。

「付き合ったら、普通の男は好きな女を触りたいだろ?」

俺の言葉に生徒会室にいる十河妹以外が頷く。

「俺も、触らないのは無理じゃないかなって感じで言ったら逃げられた。」

七宮はハハハっと軽く笑う。

「お前フラれたのに楓と普通に話してるんだな。」

「………普通って訳ではないけど………ニッシーは別の事で悩んでるみたいだし、俺はフラれるって解って告白したからさ。一条もフラれれば良いのに。」

「呪いをかけるな。」

七宮はいつも通りの笑顔をつくる。

回りにいた一年書記の東堂と友基はあからさまに気まずい顔をしている。

「そんな事より、一条は告白しないの?」

「………呪いをかけてからそれを聞くのか?」

「呪いがかかれば良いのに。」

「お前何気に酷いな。」

「仕方ないよね。俺はフラれてる訳だから………呪われろ。」

ワンコは荒んでしまったらしい。

「楓が落ち着いたらな。」

「びびりだね!」

「はいはいヘタレですから。」

俺からしてみれば楓に告白した七宮は勇者だと思う。

七宮は凄い。

自分のチキン具合に嫌気がする。

「ちょっと待ってください。何を言ってるんですか?」

突然の十河の声にそっちを向く。

「どうした十河?」

「………だって、柊会長は西田さんの事を妹みたいに思ってるって………」

「言ってねえよ!楓が俺の事を兄貴だと思ってるって言ったんだ。俺は妹なんて思ってねえし。」

1度だけ浩ちゃんに妹だと思ってるって言ったけど、あのあと後悔した。

ちゃんと好きだって胸はって言えばよかった。

浩ちゃんにボコられてもちゃんと好きだって言えばよかったって後悔した。

「だって、だって」

「十河には悪いが、俺はもう何年も楓に片想い中で他の女にはなんにも感じない。好きだって言われてもなんにも響かない。楓に兄ポジで大好きだって言われたって解ってても動揺するのにだ。だから、好意を向けられても無意味だ!俺は楓しかいらない。」

十河の目からなみだがポロポロとこぼれ落ちた。

「わ、私の王子様だと思ったのに!」

十河はそう叫ぶと生徒会室を走って出ていった。

「一条先輩!この空気どうしてくれるんですか?」

「東堂はガキだな!俺は柊の楓ちゃんに対する愛を垣間見たぞ。」

「恥ずかしいから止めろ!」

やっぱり十河兄は役に立たない。

取り合えず十河妹もこれであきらめただろう。

片想いの辛さは解っている。

勘違いしそうな優しい言葉はかえって傷付けてしまうだろう。

「一条はモテるよね。………呪われろ。」

「七宮には六木がいるだろ!」

俺の言葉に七宮は赤面した。

「六木に何か言われたか?」

「………今はほっといてほしい。」

七宮は美人に告白されたみたいだ。

「良かったな。」

「煩いよ。」

思ったよりも七宮が落ち込んでいないのは六木のお陰なのかと思ったら、少しだけ笑えてしまった。

十河妹………王子様……ウケる!


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