"相談"七宮春人目線
朝、かなさんと学校に向かっていたらニッシーの姿が目に入った。
「ニッシー!おはよう!」
何時も通りに声をかけるとニッシーは悩んでいる顔のまま俺に挨拶を返した。
「おはようございます、七先輩。」
「悩みごと?」
俺がきくとニッシーはハッとした。
「あっ、いや、七先輩その、おはようございます。」
これは俺の事を悩んでいる訳ではないみたいだ。
「一条と何かあった?」
「いや、七先輩に相談するのは駄目だって解ってます。」
ニッシーは苦笑いを浮かべる。
「カエちゃんは一条会長が自分の事を好きだって気付いたの。」
かなさんの言葉にニッシーはかなり驚いた顔をした。
「今さら?」
俺の言葉にさらに驚いた顔をするニッシーに思わず笑ってしまう。
「ニッシーが嫌じゃなかったら相談にのるよ?」
「そんな酷い事しません。」
ニッシーは泣きそうな顔を作った。
「普通は酷い事なんだと思うんだけど、俺はちゃんとフラれるって解って告ってるから、結構大丈夫だよ。今すぐ忘れるのは無理だけど、一条なら応援できる気がしないでもないような気がしたりしなかったり。」
「春人君いつの間にフラれたの?って言うか応援できるの出来ないの?」
かなさんの鋭いツッコミに苦笑いを浮かべて言う。
「したい気持ちはあるんだけどね。たぶん。受け入れる自信がないって言うかね。………でも、ニッシーは応援したいんだよ。」
「それに甘えて良いのかがわかりません。」
ニッシーは困り顔だ。
「一条の気持ちぐらいなら解ると思うんだけど?」
ニッシーの顔がビックリ顔になった。
「で、では付き合うってどう言う事でしょう。」
「えっ?え~と、一番側で支えあって高めあう存在みたいな感じ?」
「では、触るうんぬんは関係ないですかね?」
「………無理じゃん?付き合うなら触りたいよね?」
ニッシーはかなりショックを受けたようだった。
「だから、難易度高すぎるんですってば~。」
ニッシーは走って逃げ出した。
その後ろ姿を見ながら少し笑ってしまう。
一条も一筋縄ではいかないようだ。
「春人君。」
「う?」
「私もね、好きな人がいるの。」
「そ、そうなの?」
今までそんな話聞いたことがなかった。
俺の一番仲の良い幼馴染み。
彼女の好きな人?
「最近数井さんと仲よくなって言われたの、押して駄目なら押し倒せって。」
俺の幼馴染みは何を言っているのだろう?
「俺は反対です!かなさんは美人だって自覚はある?変なことして相手の男が変なことしてきたらどうするの?そいつは理性的なの?って言うか理性的に見えても理性ぶっ飛ばしちゃうかも知れないでしょ!駄目駄目!」
俺の言葉にかなさんはクスクス笑った。
「わかった。」
「よかった。かなさんが暴走するなんて考えられないよ。」
「私は頑張るつもりよ。」
「えっ?駄目だって!」
かなさんはかなり嬉しそうに笑うと言った。
「だから春人君、覚悟しててね。」
「………へ?」
かなさんの言葉に俺はフリーズした。
「春人君遅刻するよ。」
かなさんはなにもなかったようにそう言うと学校に向かって歩き出した。
「か、かなさん?」
「春人君急いで。」
かなさんは俺の方をふりかえると、目茶苦茶可愛い笑顔を俺にむけた。
俺は思わず赤面してしまった。
これは、ヤバイかも知れない。
俺はそんな予感に襲われたのだった。
ワンコ先輩って言うか奏ちゃんに幸せになって欲しいです。




