赤面の理由?
楓ちゃん頑張れない。
今私は柊君の家にいる。
「そしたら美鈴様がキスしちゃえって言うんだよ!できるわけないじゃんね!」
「それを俺に話しちゃ駄目だろ!」
「このやるせない気持ちを話せるのはひぃ様ぐらいでしょ!」
柊君は深い深いため息をついた。
「楓さ~ん俺はそれをどんな気持ちで聞けば良いの?」
「頑張れ!」
「お前が頑張れ!」
柊君は私に珈琲を手渡した。
「お前が目茶苦茶動揺したのは解った。」
「しました。」
「で、今は女友達が使えないって話に刷り変わったって事も解った。」
「もっと実用的なアドバイスくれても良くない?」
「もう少し動揺しててくれても良くない?」
「なんで?面倒臭い。」
「むしろ、そのアドバイスを実行しようと言う意気込みぐらい見せろよ!頑張れよ!」
「その手の遊びは好きじゃないです。私じゃない乙女なヒロインが攻めらてるのを画面越しにニマニマ見るのが良いんだよ!自分にそんな展開望んでないから。」
私はゆっくりと珈琲に口をつけた。
「あ~、俺は頑張ったんだそ!」
「望んでないから。」
柊君は自分の分の珈琲を飲みながらため息をついた。
「ため息つくと幸せが逃げるよ。」
「幸せを逃がしてやってんだよ。俺のところにいる幸せが可哀想だろ。」
柊君はさらにため息をついた。
なんだか柊君から悲壮感が漂っている。
「ひぃ様の逃がした幸せは私がもらえば良いのかな?」
「どうぞどうぞ。楓が引き取ってくれるなら俺の幸せも本望でしょうよ。」
なんだか可哀想な感じだ。
私は柊君のもとに向かうと柊君の顔を除きこんだ。
「ひぃ様元気ない。」
「お前が言うな。」
私はそのまま柊君の頬にキスをした。
柊君は頬に手をあて驚いた顔をした。
「これが私の限界だけど。」
「お前………小悪魔。」
最近良く柊君に小悪魔呼ばわりされるな~。
柊君の顔を見ようとしたら抱き締められた。
「見るな。」
「なんで?」
「恥ずかしいから。」
「赤面してる?」
「煩い。」
「見たい!」
「黙れ。」
私が暴れれば暴れるほど強く強く抱き締められた。
「俺以外にこんなことすんなよ。」
「しないよ!する機会もないよ。」
「あってもするな。解ったか?」
私は少し考えた。
機会があると考えて他の人にほっぺにチュウをしようと思うのだろうか?
「返事は?」
「へ?」
「返事しないと口にキスするぞ。」
「約束します!誰にもしません。」
慌てて言うと笑われた。
「好きだ。」
「へ?この流れで?」
「ああ、好きだ。」
「………ありがとうございます。」
恥ずかしい。
私はかなり赤面してると思う。
柊君の声が、無駄に良い声が耳元で好きだと言う。
ヤバイ。
変に意識してしまう。
強く抱き締めている腕だとか、耳にかかる息だとか、無駄に早い自分の鼓動だとか。
頭が追い付いてこない………違う、無駄に色々考えてしまう。
「ひ、ひぃ様!」
「なんだ?」
「離して………いや、今離されても困るんだけど………わ~どうしよう?ひぃ様私はどうしたら良いの?」
しばらく黙っていた柊君は私の耳元に甘く囁いた。
「俺のこと好きになれば良いんじゃねえの?」
「無~理~。」
暫く黙った柊君はため息混じりに言った。
「無理ってなんだよ。」
そしてゆっくりと私を離した柊君は驚いた顔をした。
「お前、スッゲー真っ赤。」
「もう、何とでも言ってくれて構いません。赤面してる自覚はあります。」
私は柊君の胸に額を押し付けると言った。
「見ないで下さい。」
「悪い。まさか、そんな可愛い反応をしてくれるとは思ってなかった。」
「可愛くないから!」
「ヤバイ可愛い。」
柊君は少し頭がおかしいらしい。
私は柊君に目をさませと怒鳴って殴ってやりたかった。
できやしないけど。
こんな状況誰にも相談出来ない。
私の頭はグルグルしていきそのまま視界がボヤけた。
「楓?おい、どうした?おい?」
柊君に支えられた時には私は足に力が入らなかった。
「お前、凄い熱だぞ。」
熱?頭がグルグルして気持ちが悪い。
私は柊君にしがみつきたかったが意識を手放したのだった。
柊君の逃がした幸せが楓ちゃんから帰ってきたかな?
許容量オーバーので知恵熱!
赤ちゃんか!?




