お洒落の真実
昨日打っていた小説は携帯に強制消去されました(泣)
ケーキ屋さんにつくと、私はベリーシフォンケーキをたのんだ。
シフォンケーキの横に添えられた生クリームが可愛い。
柊君はフルーツタルトを頼んでいた。
「これ食べ終わったら早く帰らないと。」
「なんかあるのか?」
「浩ちゃんと夕飯食べに行くの。」
柊君はタルトをほおばり固まった。
「大丈夫?」
柊君は口の中のタルトを飲みこむと言った。
「………今日のお洒落は浩ちゃんとデートするからか?」
「うん!」
柊君は私から視線をそらして言った。
「ですよね~。楓が俺と出かけるのにお洒落は少し変だと思ったよ。ってか、何で言わねんだ。」
「何でって?」
「浩ちゃんとの用事があるなら俺との予定なんて違う日にすれば良かったのに。」
「だって、ひぃ様との約束の方が先なんだよ。折角ワガママきいてもらったのに浩ちゃんの予定を優先するのは違うでしょ。」
柊君は少し考えると言った。
「………別にワガママ言われた覚えがない。」
「嘘だ~!」
「いや、マジで。」
私はゆっくり柊君を見た。
「………わかった。おふくろと親父がワガママ酷いから楓のなんかワガママになんねんだ。」
本当に理解したと言わんばかりの顔をしている。
「私のワガママがワガママにならないなら、また一緒に出かけてくれる?」
「ああ、………何で俺がお前と出かけるの嫌だと思ってんの?」
「だって、スーパー行くの嫌がるじゃん。」
「あれはお前がおばちゃん達の気をそらすために俺を囮にするからだろ。」
私は思わず笑った。
「だってひぃ様が居るとおばちゃん達優しいんだもん。」
私の笑顔につられたように、柊君も笑った。
「嫌じゃないから、またなんかあったら誘えよ。俺も誘うからさ。」
柊君の優しい言葉に私は嬉しくなったのだった。
ケーキ屋さんから帰ってくると、家の前でお父さんが待っていた。
「お待たせ!」
私が声をかけるとお父さんは笑顔で手をふってくれた。
私がお父さんの目の前に来ると優しく抱き締められた。
「お帰り楓。………ひぃ君……あんな写真撮っといて楓とデートとか、何か言い残すことはあるかな?」
柊君がお父さんから視線をそらした。
「お父さん。デートじゃないよ。」
「………どこに行ってたんだい?」
「映画見て洋服買ってCD見てケーキ食べて帰って来た。」
「………楓?俺にはどこがデートじゃないのか解らないんだが。」
私はゆっくり考えて言った。
「え~と、だって、奏ちゃん達と出かける時とほとんど変わらないよ?」
「可愛い格好に化粧までしてる。」
「だって、お父さんと夕飯食べに行く時に間に合わなかったら嫌だから、朝から気合い入れて可愛くしてみました。」
お父さんは複雑そうな苦笑いを浮かべて柊君を見た。
「うん、なんかごめんね。」
お父さんの言葉に柊君はうつ向いた。
「浩ちゃん止めて、惨めになるから。」
「うん、なんか可哀想だから写真の事は許してあげるよ。」
「嬉しいのか嬉しくないのか、複雑なんだけど?」
私はお父さんの腕にしがみついた。
「お腹すいたよ~!」
「そうだね、行こうか?」
「うん。」
「行ってらっしゃい。」
柊君は私達に手を振った。
「え?ひぃ君なんか予定でもあるの?」
「は?ないけど?」
「なんだよ、ビックリするだろ?一緒に行こう。」
お父さんの言葉に柊君はかなり驚いた顔をした。
「だって、浩ちゃんと楓は親子水入らずで食事だろ?俺邪魔じゃね?」
私とお父さんは同時に首をかしげた。
「何で?ひぃ君はうちの子みたいなもんでしょ。中華だよ。俺の奢りだよ。」
「そうだよ!ひぃ様は私のお兄ちゃんみたいなもんでしょ!」
「嬉しいのか嬉しくないのかが、また来た。………わかった。一緒に行く。」
お父さんの右腕にしがみついていた私は左手を柊君の右腕に絡めた。
「わーい。両手に花?まいっか。早くご飯!」
私がそう言うとお父さんは苦笑いを浮かべ柊君は深くため息をついたのだった。




