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ハロウィンの後

ハロウィン後半です。

私は皆にちょっと行ってくると言って保健室に急いだ。

「トリックorトリート!三神先生お菓子ください。」

三神先生はフランケンシュタインである。

「チョコレートで良いか?」

「はい!」

三神先生は私の手の上にチョコレートをのせた。

「ありがとうございます。」

「西田は黒猫か。」

「はい。可愛いでしょ。」

三神先生は柔らかく笑うと言った。

「ああ、膝にのせてなで回したい。」

「セクハラです。」

「えっ?あー、だな。悪い。」

素で言ったのかな?

「膝にはのりませんけど、頭なら撫でても良いですよ。」

私がしゃがんで三神先生を見上げると三神先生の大きな手が私の頭にのった。

「西田は卒業するまで彼氏が出来ないと良いな。」

「なんですかそれ?」

「俺の願望。」

「お父さんの回し者ですもんね。」

三神先生はクスクス笑ったのだった。



ハロウィンはあっという間に過ぎていった。

帰り道で柊君がゆっくりと言った。

「楽しかったか?」

「うん、ひぃ様は?」

柊君はゆっくり微笑むだけだった。

「ひぃ様、トリックorトリート!」

「何のお菓子が欲しいんだ?」

「………お菓子は要らないかな?」

特別柊君にもらうお菓子なんて思い浮かばない。

「悪戯したいのか?飴は食わんぞ。」

「悪戯………」

私は柊君の顔を見た。

「?どうした。」

私は柊君を見つめ続けた。

「………恥ずかしいんだが。見すぎ。」

柊君は私から視線を外した。

「照れさせてみた。」

柊君は私のささやかな悪戯はお気に召さなかったようだ。

「楓、トリックorトリート。」

「なにが欲しいの?プリンなら冷蔵庫にあるよ。」

「………」

柊君は私を見つめる。

仕返しされている。

目をそらしたら負けだ。

私と柊君はしばらく見つめあった。

「楓、お前頑固だな。」

「だって………」

「顔真っ赤だぞ。」

私は柊君から視線を外した。

「うわ~ん。負けた~。」

「勝負してたのかよ。」

柊君は私の頭を撫でる。

「くーやーしーいー!」

柊君はクスクス笑った。

「俺は楓に勝てる気がしないけどな。」

「何で?」

「………弱みを握られている。」

「弱みなんてひぃ様あったっけ?」

「ああ、あるよ。」

柊君は私の肩を抱くと楽しそうに笑って歩きだした。

「え~!思い浮かばないよ。いざと言うときに使えないじゃん。」

柊君はさらに笑う。

「使う気かよ。」

「ひぃ様にお願いしたいことが結構あるんだよ。」

「例えば?」

私は少し考えて言った。

「一緒に映画行ってほしいのがあるとか、この間友達に教えてもらったケーキ屋さんも一緒に行きたいし。ひぃ様の選ぶ服はハズレがないから一緒に洋服選んでほしいし………ひぃ様?聞いてる?」

柊君は私から顔をそむけている。

「聞いてる?」

「聞いてるよ。全部叶えてやる。」

「良いの?」

「当たり前だろ。」

私は柊君の優しさに嬉しくなって柊君のお腹に手を回して抱きついた。

「へへへ、ひぃ様ありがとう。大好き。」

私の言葉に柊君はビクリと体を震わせた。

「どうしたの?」

「今、なんつった?」

「聞こえなかった?ありがとう。」

柊君はため息をついた。

私が首をかしげると柊君は恨めしそうに言った。

「小悪魔。」

「小悪魔じゃないよ!黒猫だよ。」

「絶対小悪魔だ。」

「ほら、耳と尻尾が見えないの?眼科行く?」

「行かねえよ!くそ。」

なぜか柊君は悔しそうにしている。

「ひぃ様?」

「楓は俺の嫁。」

突然そう言われ驚いた。

「………はいはい。」

何時ものように返すと柊君は満足したように笑ってくれた。

つられて私も笑うと柊君は満足したようだった。

ついつい柊君を甘やかしてしまう。


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