"撮影"一条柊目線
ひぃ様頑張って!
俺に用意されていたのは狐の衣装だった。
俺の黒髪は白いスプレーの整髪料で白くされそれに白い耳、男物の着物にフサフサな尻尾が1本はえている。
着物を少しだけ着崩して胸元が見えるようにされた。
「柊君結構鍛えてるのね!うふふふふ。」
怖い。
俺は衣装を着おわると急いで楓の元へ向かった。
俺を見ると楓は驚いた顔をした。
「なんだよ?」
「………エロっぽい。」
「エロいのか、色っぽいのかどっちだ?」
「両方!」
楓は可愛い笑顔を作った。
「ヤバイ、写メ撮っても良い?浩ちゃんに見せたい!」
「じゃあ、俺も楓の写メ撮って浩ちゃんに送る。」
「うん!そうしよう!」
楓はあまり見せない柔らかな笑みを浮かべた。
破壊力高すぎる笑顔にドキッとする。
「じゃあ、こっち来てくれるかな?」
俺と楓はスタッフに囲まれてスタジオに連れていかれた。
スタジオにつくとそこは神社のようなセットが組まれていた。
月の出た夜の神社で回りは紅葉した木々が森のようになっている。
「じゃあ、柊君は縁側に座って。」
俺は言われた通りに縁側に座った。
「片膝立て!湯のみを持つ。」
指示している人とは違うスタッフが差し出した湯のみを受けとる。
「楓ちゃんは2メートルはなれて縁側に寝っ転がって!猫っぽくね。」
「ハーイ!」
楓の方を見るとスタッフに怒られた。
「とるから柊君は視線こっち!」
仕方なくカメラを見る。
カメラのシャッター音が響く。
「柊君ゆっくり視線を楓ちゃんの方!そう!」
言われるがまま俺達は撮影を始めた。
湯のみを傾ける狐。
眠る猫。
猫に視線をうつす狐。
眠る猫。
湯のみに視線をうつす狐。
目をさます猫。
気がつかない狐。
近寄る猫。
「じゃあ、狐押し倒そうか!」
軽いノリでスタッフが言うと楓は躊躇わずに俺に抱き付いた。
楓の力で俺は体がゆれたが、押し倒される訳がない。
「ちょっと、ひぃ様!押し倒させて!」
凄いセリフだ!
俺は楓の肩を掴むとそのまま逆に押し倒した。
「倒される趣味はない。」
一気に真っ赤になる楓。
可愛い!
回りが黄色い悲鳴に包まれて我にかえる。
「キャー柊君そのまま、そのまま見つめあって!」
楓を見ると耳まで真っ赤だ。
可愛い可愛い!
「そのままキス!」
スタッフの声に楓は口を両手で隠した。
可愛いな~!
俺はそのまま楓の手にキスを落とした。
回りが一気に煩くなったが俺は上機嫌で楓からはなれた。
「ひぃ様の意地悪~!」
楓は真っ赤なままだ。
可愛すぎる。
本気でキスしたい。
「真っ赤だ。」
「う~煩い。」
これ以上は嫌われたくないから無理だが今日は良い日だと思えた。
楓ちゃん攻められてます。




