文化祭
ハロウィンの前に。
「楓ちゃん!京君のクラスはね~3ーBなの!」
今日、私はマリナちゃんに連れられて京矢君の中学の文化祭に来ていた。
「執事喫茶なんだって!」
「テンション上がるね。」
京矢君の執事姿素敵だ!
私達は京矢君のクラスに直行した。
「お帰りなさいませお嬢様。」
入り口に居たのは海で見かけたムカつく男の子だった。
彼は私達を見ると教室の中に叫んだ。
「数井!姉ちゃん来たぞ。」
「他の客が居んのに叫ぶなよ。」
中から京矢君が慌てて出てきた。
「うわ!西田さんまで!」
私とマリナちゃんは期待をやどした瞳で見つめた。
「………お帰り………つうか、言わねーぞ!中入れよ。」
私とマリナちゃんは京矢君の言葉に笑顔を作った。
「「ツンデレ~。」」
「ちげーから。恥ずかしい………目茶苦茶恥ずかしい。」
私とマリナちゃんは京矢君を挟むようにして腕にしがみつく。
私が左でマリナちゃんが右だ。
「京君男前!」
「テレテレで可愛い。」
「西田さん、可愛いは誉め言葉じゃないですからね。」
京矢君は顔を赤らめてそう言った。
「「可愛~い。」」
最近ではマリナちゃんと京矢君の事でよくシンクロする。
「西田さんは姉さんみたいにならないで下さいね。本気で!」
「京君、黙ろうか?」
「………はい。」
マリナちゃんは迫力満点の笑顔で京矢君を黙らせた。
京矢君と親しく話をしていると、回りの女の子に睨まれた。
やっぱりモテるようですね。
「この前は勉強見てもらって助かりました。結果22位でした。」
「良かったね!フルーツパーラーのメロンパフェはお預けだね。」
「御礼におごりますよ。」
京矢君は優しい笑顔をくれた。
「京君が抜け駆けして楓ちゃんとデートしようとしてるって皆に言いふらしてやる~。」
「姉さん!俺殺されちゃうから。」
京矢君は冷静に突っ込みをいれた。
「私も一緒に行っても良いならだまっててあげる。」
京矢君は嫌そうな顔をした。
「姉さんの分まで奢らないからな。」
「楓ちゃん、京君がケチ臭い~。」
私はクスクス笑って言った。
「御礼なら京矢君が今の格好で甘い言葉を囁いてくれるんでも良いよ。」
京矢君は一気に赤面した。
「それは~誰得なんすかね?」
「私は笑えると信じてるけど。」
私がそう言うと京矢君は愕然とした。
「笑われる前提だ!」
「ひぃ様に乙女ゲームの台詞を囁いてもらっても大爆笑だけど?」
「「可哀想だよ~!」」
今度は京矢君とマリナちゃんがシンクロしていた。
「一条さんが不憫でならない。涙が出そうだ。」
「ああ~今日の楓ちゃんのベストショットを送ってあげよ~。」
二人がぶつぶつと何かを呟いていた。
「何のセリフ吐いてもらおっかな~?」
「奢ります!奢らせてくださいお願いします!」
「私の分は自分で払うよ~!京君をいじめないで~!」
私はそんな二人を見てさらに笑ってしまった。
何だかんだで、この姉弟は本当に仲が良くて羨ましくなってしまうのだった。
京矢君は転生者なので、大人なオーラに中学生女子は惹かれると思うのです。




