"記憶"数井京矢目線。
シリアスです。
小6の時熱をだした。
その時忘れたことがある。
辛すぎて思い出したくなかった。
生まれる前に俺の姉だったカスミちゃんの事。
カスミちゃんは俺の実の姉。
料理上手で性格が良くてスタイル抜群で俺の自慢。
一歳しかかわらないから姉呼ばわりしないでカスミちゃんって呼んでた。
彼女に間違われるのも気分が良かったし。
カスミちゃんは隣の家で幼なじみの宏君の事が好きだった。
俺はカスミちゃんは宏君と付き合うものだと思ってたから、宏君の事を兄のように思ってた。
俺が就職した時、カスミちゃんはかなり喜んでくれた。
「京ちゃんの作ったゲームなら、クリアしたら京ちゃんの名前がテロップで出るんだよね!私もクリアして京ちゃんの名前見るからね!」
カスミちゃんは本当に可愛い。
俺はカスミちゃんが、喜んでくれるから仕事が楽しかった。
その日、カスミちゃんは部屋から出てこなかった。
俺はなんだか不安になって宏君の所に相談に行った。
宏君はご機嫌だった。
「彼女が出来たんだ!」
俺の顔を見るなり宏君は言った。
それが原因だとすぐにわかった。
この男はカスミちゃんが自分の事を好きなのを知っているはずだった。
カスミちゃんはこの男の前でだけ、とびきり可愛い笑顔を見せたから誰でも好きだって気が付いていたはすだ。
「彼女、俺が居ないと駄目なんだよ。」
カスミちゃんは何でも出来る。
だから駄目だったのか?
俺は宏君をぶん殴ってやりたかったけど用事を思い出したって言って、家に帰った。
帰るとカスミちゃんの部屋を無理矢理こじ開けてカスミちゃんを抱き締めた。
「………知ってるんだね。……………明日には笑えるようにするからね。」
カスミちゃんはそう言って泣いた。
次の日、泣き腫らした顔でカスミちゃんは笑った。
俺はカスミちゃんのために乙女ゲームを考えた。
流行っていたって言うのもある。
カスミちゃんの好きそうな台詞を考えたり、カスミちゃんの横に居てもたえられるように俺の趣味丸出しでキャラを考えた。
隣の家に住んでる幼なじみキャラを作る時、俺の理想を詰め込んであの男の頭文字をとって柊、一条柊って名前をつけた。
あんな男とは違うそんな反発心からそう名付けた。
サポートキャラは俺、カスミちゃんの彼氏にはなれないけどカスミちゃんを一番幸せにしたいのは俺だ。
だからヒロインの弟で、サポートキャラの名前は俺と同じ京矢にした。
勿論ヒロインの名前はカスミちゃんから名前を付けようと考えた。
カスミちゃんはきっと自分の名前がついたヒロインを見たら嫌がるだろう。
カスミちゃんから頭文字をとって楓って名前を考えたんだ。
「こんな隙のないヒロイン却下だ。」
ボツられるとは思わなかったが。
ヒロインは俺の先輩が考えたマリナで決まった。
「この幼なじみキャラも、幼なじみは却下だ。………そうだな、隠しキャラならスペック高めで最高だろ!」
大人の事情で全てが俺の思い通りにはならなかった。
だけどカスミちゃんはスッゴク喜んでくれた。
そんな時、カスミちゃんは入院した。
癌だと聞いた時何を言われているのか解らなかった。
余命3ヶ月ってなんだよ。
カスミちゃんは延命治療は嫌だと言った。
3ヶ月かんミッチリ俺の作ったゲームをやって幸せな気持ちで死ぬんだって笑った時は俺が代わりに大号泣でカスミちゃんに心配されて抱き締められて背中をポンポンされてさらに泣けた。
宏君がお見舞いに来たけど、カスミちゃんは会わなかった。
「いまさら会ってどうすんの?時間の無駄よ!」
って格好良く言っていた。
俺は宏君が彼女と別れたのを知ってたけど、教えてやる気はなかった。
今更カスミちゃんが好きだとか、むしがよすぎる。
少ししか残っていないカスミちゃんの時間をあんな男にくれてやる気持ちにはなれなかった。
カスミちゃんカスミちゃん、俺の自慢の姉。
生まれ変わったら絶対に幸せになってくれ。
俺はカスミちゃんが幸せになるなら何でもするよ。
だから、幸せになってくれ。
「京矢君おはよう。大丈夫?」
「西田さん、おはようございます。」
朝目が覚めた時西田さんが朝食の準備をしていた。
「怖い夢でも見た?」
「ヘ?あ~思い出せないです。」
「泣いてたよ。」
「げっ!」
俺は自分の目もとをさわった。
濡れてる。
「顔洗ってきます。」
俺はばつが悪くて逃げ出した。
顔を洗って、俺は笑った。
情けない顔を見られたのに見られたのがあの人で良かったって思ってしまった。
あの人の側は居心地が良すぎて困る。
俺はそんなことを思いながらリビングに戻るのだった。
衝撃!楓ちゃんと京矢君の意外な繋がり!
悲しくなってしまった。
通常運転に戻ります。




