女神
合宿所に案内されて私はすぐに厨房にむかった。
業務用の厨房。
私は期待で胸を弾ませていた。
取り合えず、夕御飯は親子丼とお吸い物和風サラダに決めて30人分作った。
陸上部の人数、20人に御代わり用を足して30人分だ。
「中野、飯の仕度できたか?」
陸上部のメンバーが厨房に隣接された食堂にあらわれた。
「お疲れ様です。」
声をかけると、声をかけてきた部員がおののいた。
「女子!」
「なに~?女子だと!」
次に数人の部員が入ってきた。
「今よそりますから、持っていってもらって良いですか?」
「「「「うぉ~!」」」」
絶叫された。
怖い。
「煩いぞ!どうした?」
その次にあらわれたのは、十河玲二だった。
「君は?」
「一年の西田楓と言います。中野君と同じクラスです。中野君にたのまれて来ました。」
すると回りの陸上部員達が叫んだ。
「「「女神降臨!」」」
怖いよ。
「お前らはしゃぐな!」
十河玲二は苦笑いを浮かべた。
「すまないな!」
私が作った料理は大好評だった。
御代わり用の分まですべて食べ尽くしてもらった。
「「「「ごちそうさまでした!」」」」
幼稚園児のように声を揃えてごちそうさまをしてくれた。
なんだか可愛い。
「お粗末様でした。」
私が笑顔でそう言うと、陸上部員達が私の所に集まってきた。
「西田さんって彼氏居るの?」
「可愛いよね!俺なんてどう?」
「君は俺の女神様です。」
「俺と付き合ってくれ!」
怖いよ。
「楓!帰るぞ!」
その時、柊君が迎えに来てくれた。
「えっ?一人で帰れたのに。」
「お前を夜道一人で歩かせたなんて知られたら浩ちゃんに殺される。」
「浩ちゃんも心配してくれる?」
「浩ちゃんが心配しないわけがないだろ?」
私は柊君に笑顔を向けた。
「ほら、帰るぞ。」
柊君も優しい笑顔をくれた。
「一条!どう言う事だ?お前は妹と付き合ってんじゃないのか?」
そこに十河玲二が口を挟んだ。
「げっ。十河兄…つうか、お前の妹とは付き合わねえって何べん言えばわかんだよ!」
「なぜだ?」
柊君が面倒臭い顔をした。
「楓、逃げるぞ。」
柊君はそう言うと私の手をとって走って逃げ出した。
十河玲二登場です!
十河兄妹は面倒臭いキャラになりそうです。
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