ヒロインちゃんになつかれた
短いです。
教室に入ると横に座った八尾君の顔色が悪いのに気がついた。
「八尾君大丈夫?顔色が悪いよ!」
「大丈夫だよ………そんなことより西田さんにあんな格好いい大人な彼氏がいたなんて知らなかったな~。」
八尾君は青い顔で笑顔を作った。
「えっ?………もしかして浩ちゃんの事?童顔だから勘違いしたのかも知れないけど………浩ちゃんはお父さんだよ。」
八尾君の頭に?マークが見える気がする。
「お父さん?」
「あれでも40代なんだよ!三神先生の方が年上に見えるよね。私にも浩ちゃんの血がながれてるんだからいつまでも若く居られるかな~とか思っちゃうよね!」
八尾君はキョトンとしている。
「八尾君?」
「彼氏じゃないんだ~。そっか~。仲良しなんだね!」
「うん。仲良しなの!」
私は嬉しくなってニコニコと笑った。
八尾君は驚いた顔をして赤くなった。
「八尾君?大丈夫?熱が出てきた?顔が赤くなったよ。」
「えっ!大丈夫!大丈夫だよ!」
顔が青から赤になるって相当体調悪いんじゃないだろうか?
「保健室行った方が良いんじゃない?」
八尾君は少し考えてから笑った。
「ちょっとだけ保健室行ってくるね。たぶん…すぐ戻ってくるだろうけどね。」
「一人で平気?」
「うん。平気だよ!風邪薬もらってくるだけだから。」
八尾君は可愛い笑顔を私に向けて保健室にいってしまった。
ちきしょー可愛いな攻略対象者。
「西田さん見たよ今朝のイケメン彼氏!スッゴクお似合いだったよ!私も彼氏とイチャイチャラブラブしたいよ!」
ヒロインちゃんに手を握られ凄い迫力で詰め寄られ私は苦笑いを作った。
「あ、あれは~………」
「私ね、彼氏が出来たらイチャイチャラブラブするのが夢なの。西田さん見てたらなんだか私も負けてらんないって思っちゃった!」
ヒロインちゃんの満面の笑みが私にあれは父親ですとは言えない空気をかもし出していた。
「私頑張るね!西田さん、楓ちゃんって呼んでも良い?」
私は顔が顔がひきつるのを隠すように笑顔で頷いた。
「私、楓ちゃんの事大好きよ。」
どうしよう。
私知らないうちにヒロインちゃんを攻略している?
家に帰ると玄関のドアの前にマリーさんが座ってデザイン画を描いていた。
「なんて所で仕事してるんですか?」
「お帰り~楓ちゃん!」
マリーさんは私に気がつくと元気に手を振った。
取り合えずマリーさんを家に入れた。
「紅茶で良いですか?」
私が聞くとマリーさんはニコニコとして頷いた。
紅茶をいれてマリーさんの前におくとマリーさんに手を引かれてソファーに押し倒された。
「………マリーさん危ないですよ。」
「おくの見計らってやりました。」
「どうしたんですか?」
マリーさんはニコニコしながら私の体をまさぐりだした。
「やあっ、やぁ~だ~」
マリーさんはたまにこう言うことをする。
「また、胸またでかくなった?」
「ま、マリーさん!採寸ってメジャー持ってやるって知ってます?」
「数字より感覚の方が着心地抜群なんだから触らせなさい。」
マリーさんはさんざん私をなでくりまわすと満足したように離れてくれた。
「良くできました。」
「もう2度としたくないです………」
マリーさんはニコニコと笑った。
「楓ちゃんが可愛いのが悪いのよ!」
私はぐったりと項垂れた。
「柊に頼んでも良いんだけど柊じゃ嫌でしょ!」
「………わかりました。諦めます。」
なぜかマリーさんはため息をつき笑った。
「あっ、そうだ!この間の一緒に居た女の子二人の写真ってある?」
「奏ちゃんのはあるけど、数井さんのはないかも。」
私はそう言うと携帯を出して、奏ちゃんと忍と美鈴様と四人で写っている写メを見せた。
「このボーイッシュガールと美少女は?」
「私の親友がこの3人です。」
マリーさんはその写メをまじまじと見つめて言った。
「3人のドレスも私が用意しても良い?」
「ヘ?いやいや、マリーさんどんだけ仕事を追いつめれば気がすむんですか?」
「作るのは楓ちゃんにだけよ!私が前にデザインしたドレスを着こなせそうだと思っただけ。この子達に聞いといて!ドレスの写メ後で送るから!それから数井さんだっけあのこの分も用意するからね!写メがあれば作ろうかと思ったんだけど………楓ちゃんのだけ作ることにするね!」
マリーさんは私の頭を撫でた。
もしかしたら私はヒロインちゃんのイベントをひとつ潰せたのかも知れない。