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日直

1ヶ月私がみてみた結果、ヒロインちゃんは数井マリナ(かずいまりな)で合っていると思う。

綺麗な栗色のロングヘアーをなびかせた、大きくて真ん丸な濃い茶色の瞳が可愛らしい。

天然で優しくて少しどじっ子って乙女ゲームのヒロインちゃんに決定!って感じだ。

兎に角可愛いクラスの男子はほとんどメロメロで見ていて清々しい。

女子も一部の人間をのぞいて比較的好印象を持っているようだ。

「あ、あの、日誌書けましたか?」

回想していたら話しかけられて肩を上げて驚いてしまった。

「驚かせちゃってごめん。」

「ああ、こっちこそごめんね、ぼーとしちゃって日誌書けたら職員室持ってくから八尾君は帰って良いよ!」

なぜか、同じクラスの隣の席に八尾慶吾君が座ったため、一緒に日直をやることになった。

しかも、私の後ろの席がヒロインちゃんなため、私が居なかったらヒロインちゃんが八尾君の隣の席になっていたはずだ。

えっ?私邪魔してる?

「今日一日、日誌全部書いてもらってるのに…先に帰るだなんて出来ないよ。」

八尾君は眉間にシワを寄せて言った。

「八尾君は優しいね、普通の男子なら後よろしく~って帰るよ!少しは八尾君を見習ってほしいよね。」

私の言葉に八尾君はちょっと慌てて言った。

「いや、僕なんて、ただのヘタレで…」

八尾君はロシア人と日本人のハーフで、薄い金髪に綺麗な青い目を持っている。

綺麗な顔立ちなのにそれがコンプレックスらしい。

今、気が付いた私はこの乙女ゲームをたいしてプレイしていないのかもしれない、彼がヒロインちゃんに勇気付けられて男前に自信をつけていくって転回はわかるが彼のエンディングが見えない。

って事は、彼のエンディングは見られていないのだろう。

「西田さん?」

「あっ、ごめんごめん、八尾君の瞳が吸い込まれそうなくらい綺麗だから見いっちゃったよ。」

「えっ!!」

八尾君は長い前髪で目元を隠そうとする。

「羨ましい、カラコン入れてもそんな綺麗な色になんないよ!綺麗な薄い金髪に綺麗な瞳、それが違和感なく見れるだけの顔のクオリティー…自分が悲しくなってきた。」

「えっ、に、西田さんはか、か、可愛いよ!」

何を言ってんだろこの人、テンパり過ぎてワケわかんないこと口走ってる。

「…ありがとう、八尾君は優しいね。」

「いや、本当に。」

八尾君に、気を使わせてしまった。

私は少しの苦笑いを浮かべた。

八尾君は私の苦笑いを見て、柔らかく笑った。

こいつ可愛いなさすが攻略対象者。

私が、そんなことを思った、その時教室のドアが勢いよく開いて生徒会長七宮春人が入ってきた。

「慶ちゃん生徒会の仕事が終わんないよ~手伝って~。」

確か七宮春人と八尾慶吾は従兄弟だったはずだ。

七宮春人は私と八尾君を見て言った。

「ウワ、良い雰囲気だった?ごめ…………ニッシー?」

七宮春人は私の中学の時の先輩である。

「お久しぶりです、ワンコ先輩。」

「ニッシー、久しぶり!ワンコは止めよう!」

私はカバンの中に入れておいた非常食のクッキーを取り出すと七宮先輩に見せた。

「これ、ニッシーの手作り?」

「そうですよ、お手。」

「ワン。」

私の手に躊躇わずに手をのせた七宮先輩の手をひっくり返して、クッキーをのせる。

「わーい!ニッシーのクッキー!」

七宮先輩はこれまた躊躇わずに口に入れた。

「…ウッマ、ヤバイ、ニッシーの手作りお菓子以外食えなくなる~」

「では、あたえるのを止めましょう、ワンコ先輩が人間に戻れるように。」

「ごめんなさい、ごめんなさい、ワンコ先輩で良いです。」

懐かしいやり取りに思わず笑ってしまう。

「春ちゃんは西田さんと知り合いなの?」

「中学の時の後輩!ニッシーに会いに家庭科室通ったな~。」

「ワンコ先輩の目当ては出来立てお菓子でした、私に会いに来ていたわけではないですよね?」

「ニッシーの作るお菓子が一番美味しかったよ!」

「あざーす。」

軽く返すと苦笑いされた。

「って言うか、二人はもしかして…付き合ってたり…」

「しません。八尾君に失礼ですよ!イケメンは可愛らしい、守ってあげたくなるようなヒロインみたいな子じゃないと!」

「ニッシーも可愛いよ!俺は守ってあげたくなるよ!」

「ワンコ先輩は餌付けされ過ぎて私の事をご主人様だと思ってるんですね!餌は控えますから新しいご主人様をお探しください。」

「酷い、一度飼ったら最後まで育ててくれないと駄目です。」

七宮先輩はニコニコしながら言った。

「飼った覚えがございません!八尾君に七先輩はあげます、可愛がってあげてください。」

突然話をふられて八尾君が慌てているなか私は立ち上がりカバンを手に取った。

「日誌書けたから、職員室行って帰るね!八尾君は七先輩のお手伝い頑張ってね!」

私は非常食のクッキーの袋を七宮先輩の手にのせた。

「八尾君とわけてくださいね!お先です!」

私はそれだけ言って職員室に向かった。

ワンコ先輩大好きです!

コメントもらえたら嬉しいです!


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