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"可愛い人と綺麗な人"八尾慶吾目線

やっぱり短めです。

西田さんは凄い人だ。

そう思ったのは日直で瞳を合わせた時だった。

彼女が僕の瞳を見るように、僕も西田さんの瞳を見つめてしまっていた。

真っ黒で綺麗な瞳に吸い込まれたような錯覚をおぼえた。

西田さんは僕の瞳を吸い込まれそうだと、カラコンでは出せない色だと誉めてくれた。

容姿の事で色んなことを言われてきたが、西田さんの言葉は人工的には作れない色だと誉めてくれたんだと思えた。

少しだけこんな瞳でも良い物のような気持ちになれた。

従兄の七宮春人が彼女と仲よく話している事に少しだけお腹の辺りがもやもやした。

西田さんが頭をぶつけた時は本当に心配した。

二階堂君が西田さんをお姫様抱っこした時は喉に息がつまった。

西田さんが僕を真っ直ぐに見て助けを求めてきた時、初めて僕みたいなヘタレでも頑張ってみようかと思えた。

二階堂君に強く言われて怖じ気づいてしまったけど………

西田さんはやたら僕を優しいと言ってくれる。

僕の精一杯を意味のあることにしてくれる。

西田さんと春ちゃんが仲よくしていると、僕は除け者にされたような気持ちになるけど側に居られるだけで満たされたような気持ちにもなる。

だから春ちゃんが西田さんと二人でいるのを見かけたらバカなふりして仲間に入れてもらう。


僕は本を読むのが好きだ。

図書室を利用する人が少ないから何時も貸し切り状態だったんだけど最近は数井マリナさんとよく会うようになった。

彼女も本を読むのが好きらしい。

「この前すすめてくれた本面白かったよ!他にもおすすめの本があったら教えてほしいな!」

数井さんは僕に笑顔を向ける。

可愛い人だ。

数井さんは少しおっちょこちょいなところがある。

何もないところで転びそうになる。

何度か不可抗力で抱き付かれた事がある。

良い匂いがするし全体的に細身なのに柔らかい。

「ごめんなさい。八尾君が支えてくれたから助かっちゃった!八尾君はナイト様みたいだね!」

数井さんの台詞は本で読んだみたいにきこえる時がある。

ナイト様なんて本の読みすぎじゃないだろうか?

「ナイトだなんて……気を付けてね!」

「うん!ごめんね!」

つい口をついて出てしまいそうだった言葉をのみ込んで数井さんに笑顔を向けた。

「八尾君が居てくれて良かった!」

数井さんも僕につられたように笑顔を作った。

数井さんの笑顔は回りを明るくするような気がする。

可愛い人なんだ。

西田さんは綺麗な人って感じがする。

回りに流されない気高さのようなものを感じる。

そうだ、食堂で西田さんを怒らせてから西田さんとは話せてない………隣の席なのに………

西田さんと話したいな~笑顔が見たい。

「八尾君?きいてる?」

「うん、きいてるよ!」

笑顔で誤魔化して数井さんをみる。

「でね、八尾君じゃなくて慶吾君って呼んでも良い…かな?」

僕は笑顔で頷いた。

数井さんは少しだけ顔を赤らめて嬉しそうに笑った。

本当に可愛い人だ。

一緒に居るとなんだか癒される。

数井さんを好きになっても良いだろうか?

春ちゃんと一緒に居る西田さんを見て苦しくて黒くてもやもやした感情を抱くよりは数井さんを好きになった方が健全な気がする。

「慶吾君は優しいね!」

「………」


僕は駄目な人間だ!

西田さんの顔がちらついて、まだまだ数井さんを好きになりきれないみたいだ。

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